ローブレナ®、CROWN試験7年解析において、進行非小細胞肺がんを対象にこれまでに報告された中で最長の無増悪生存期間を示す
米国 ニューヨーク、2026年5月29日-ファイザーは本日、未治療の未分化リンパ腫キナーゼ(以下、ALK)陽性進行または転移性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)患者を対象に、第3世代ALK阻害剤ローブレナ®(一般名:ロルラチニブ。以下ローブレナ。欧州ではLORVIQUA®の製品名で販売)とザーコリ®(一般名:クリゾチニブ。以下、ザーコリ)を比較評価した第3相CROWN試験において、前例のない7年間の追跡結果を発表しました。
7年時点で、ローブレナ投与群における疾患進行なしの生存率は55%(95%信頼区間[CI]:46~63)であったのに対し、ザーコリ投与群では3%(95%CI:1~8)でした。さらに、追跡期間中央値7年時点での最新解析では、ローブレナ投与群において治験責任医師による無増悪生存期間(PFS)の中央値は未到達*であり、推定ハザード比(HR)は0.19(95% CI、0.13-0.26)で、ザーコリと比較して疾患の進行または死亡のリスクが81%減少したことが示されました。本解析の全結果は、本日から開催される2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会(演題番号#8502)の口頭発表で報告されるとともに、同時にAnnals of Oncology 誌にも掲載されます。 *注記)未到達=解析時点で50%以上の患者さんが生存し、かつ病勢進行が認められていなかったため、中央値を算出できない状態を示す(本解析では、7年時点において同様の状態が継続していた)。※本注記は、日本で独自に加えたもので原文にはありません。
ファイザーのチーフ・オンコロジー・オフィサーJeff Legosは次のように述べています。 「CROWN試験の最新結果は、前例のない長期的な臨床的ベネフィットを示しており、ローブレナで治療を受けた患者さんの大多数が7年時点でも生存し、かつ無増悪の状態を維持していたと推定されています。他試験との単純比較はできないものの、本結果は、肺がん領域においてこれまでに報告された中で最長のPFSである可能性を示唆しました。これらの結果は、当社の優れた創薬力と、進行NSCLC患者さんの治療成績の向上を目指した革新的な治療薬の開発に対する継続的な取り組みを、あらためて示すものです」
肺がんは、全世界において依然としてがん死亡の主な要因となっています1。2026年には米国で約23万の新規症例が発生すると予想されています2。NSCLCは肺がん全体の約75~80%を占め3、そのうち約3~5%がALK融合遺伝子陽性です4。ALK陽性進行NSCLC患者の約25~40%において、診断から2年以内に脳転移が発生すると報告されており、これは生存率の低下や認知機能、生活の質に深刻な影響を及ぼす可能性が示唆されています5。
ローブレナは、他のALK阻害剤に対する耐性の原因となる変異を標的として阻害し、血液脳関門を通過する薬剤として、ファイザーが設計・開発しました。本7年間の追跡解析の結果、ローブレナは脳転移の発現を持続的に抑制し、頭蓋内病変進行のリスクを94%低減(HR、0.06、95% CI、0.03-0.12)させ、最初の30ヶ月以降、新たな頭蓋内病変の進行は発生しなかったことが示されました。頭蓋内病変進行までの期間の中央値は、ローブレナ投与群では未到達(95% CI、NR-NR)であったのに対し、ザーコリ投与群では16.4ヶ月(12.7-21.9)でした。解析時点において、CROWN試験ではローブレナ投与群の44%が治療を継続していたのに対し、ザーコリ投与群では 3%でした。
CROWN試験の治験責任医師であるTony Shu-Kam Mok教授(The Chinese University of Hong Kongの腫瘍内科医)は次のように述べています。 「CROWN試験の7年にわたる追跡結果は、治療効果の持続という点で注目に値するだけでなく、進行期NSCLCの治療において、臨床医や患者さんが期待できる治療アウトカムに変化をもたらす可能性を示している点でも重要です。1日1回の経口投与で、PFSの持続および脳転移の抑制という両面で、これほど長期にわたるベネフィットが示されたことは、ALK標的治療が開発された約10年前には想像し難かったものであり、本結果は肺がん治療領域において重要な意義を持つものと考えます」
CROWN試験の治験責任医師であり、本試験論文の唯一の日本人医師である後藤 悌先生(国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科長)は次のように述べています。 「CROWN試験の7年追跡解析データは、ALK陽性NSCLCの一次治療において、持続的な治療効果を示した極めて意義深い結果だと考えています。7年という長期の追跡において一貫した有効性が確認されたことは、この領域において非常に重要です。ALK陽性NSCLCでは、全身病変の制御に加え、脳転移を含む中枢神経系病変への対応も治療選択における重要な要素です。今回の結果は、長期生存を見据えた治療戦略を考える上で、全身および中枢神経系を含めた包括的な病勢コントロールの重要性を改めて示すものと受け止めています。日本の臨床現場においても、ALK陽性NSCLCの一次治療を長期的な視点で選択する上で、重要な意味を持つデータだと考えています」 ※本コメントは、日本で独自に加えたもので原文にはありません。
また、NPO『ALK Positive』リサーチ・クリニカルアフェアーズのディレクターKenneth Culver M.D.は次のように述べています。 「あらゆる臨床試験の背景には、がんの進行を抑えながら、子育てやキャリアの継続、日々の生活を送り続けている患者さんがいます。本7年間のデータは、長期的な病勢コントロールが可能であることを示唆するものであり、ALK陽性NSCLCとともに生きることの意味を変えつつある治療の進歩に貢献するファイザーの取り組みに対し、称賛を送ります」
ローブレナおよびザーコリの安全性プロファイルはこれまでの知見と一致しており、新たな安全性上の懸念は認められませんでした。本解析において、ローブレナ投与群で高頻度(≥20%)に認められた有害事象(以下、AE)は、浮腫、体重増加、末梢神経障害、認知機能への影響、気分への影響、下痢、呼吸困難、関節痛、高血圧、頭痛、咳嗽、発熱、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症などでした。グレード3/4のAE発現率は、ローブレナ群で77%、ザーコリ群で57%でした。治験薬と関連のあるAEによる恒久的な投与中止は、ローブレナ群およびザーコリ群でそれぞれ5% 、および6%でした。ローブレナ群では投与開始26ヶ月以降、治療関連AEによる新たな投与中止は認められませんでした。
<参考情報> CROWN試験について CROWN試験は、第3相、無作為化非盲検並行群間比較試験で、未治療のALK陽性進行NSCLC患者296人をローブレナ単剤療法(n=149)、またはザーコリ単剤療法(n=147)に1:1の割合で無作為に割り付けました。主要評価項目は盲検下独立中央判定(BICR)によるPFSです。主要な副次評価項目は全生存期間(OS)です。OSについては現在も追跡調査が継続中であり、結果は今後、報告される予定です。その他の副次評価項目には、治験責任医師による評価に基づくPFS、奏効割合(ORR)、頭蓋内奏効割合(IC-ORR)、および安全性が設定されています。3年時点および5年時点の追跡においてもPFSの中央値に達しなかったことから、本試験における治験責任医師による腫瘍評価に基づく長期アウトカム評価を目的として、事前に規定されていない事後解析が実施されました。本解析は、臨床的に意義のある7年という追跡時点を指標において実施されました。
ローブレナ®(一般名:ロルラチニブ)について ローブレナは、米国では「米国食品医薬品局(FDA)で承認された検査によりALK陽性と診断された転移性NSCLCの成人の治療」を適応として承認されています。米国に加え、オーストラリア、カナダ、中国、欧州連合(EU)、日本、韓国を含む80カ国以上で承認されています。 日本においては、2017年10月に独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)が導入した「医薬品の条件付き早期承認制度」の適用を受け、優先審査対象として約8カ月の審査期間を経て、2018年9月21日に「ALKチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能・効果で世界に先駆け製造販売承認を取得しました。次いで、上記の第3相CROWN試験の結果に基づき、2021年11月25日に「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能・効果で承認を取得し、ALK陽性NSCLCの一次治療薬として使用することが可能となりました。添付文書においては、「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ALK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること」が求められています。
ザーコリ®(一般名:クリゾチニブ)について ザーコリは、米国では「FDAで承認された検査によりALK陽性またはROS1陽性と診断された転移性NSCLC患者の治療」を適応とするチロシンキナーゼ阻害剤です。オーストラリア、カナダ、中国、日本、韓国、欧州連合(EU)を含む 90 以上の国々で、ALK陽性NSCLC患者に対する承認を取得しています。また、ザーコリは60カ国以上において、ROS1陽性のNSCLCに対する適応も承認されています。