エヴェレストの吹雪から避難したハイカー、低体温症の恐怖語る 救助活動続く
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報道などによると、東側斜面は標高4900メートルを超える場所にあり、登山家やハイカーに人気のエリアとなっている。降雪は3日夕に始まり、週末にかけて強まった。通行を阻んでいる大雪を除去しようと、現地の村の住民数百人と救助隊が派遣されている。
救助隊は、これまでに約350人を近隣の小さな町クダンへと避難させた。当局は、まだ取り残されているハイカー全員と連絡を取っているという。
中国では国慶節の大型連休中で、何百人もの観光客がエヴェレストの東側エリアを訪れている。
その1人で自然写真家のドン・シュチャンさん(27)は、チベットの斜面からヒマラヤの絶景を撮影しようと楽しみにしていたが、4日にトレッキングを開始した数時間後に吹雪に見舞われたと話した。
「雷と強い風雪がやまなかった。降雪がすごく、ほとんど眠れなかった」
彼のグループは、標高4600メートルに達したところで引き返すことを決めたという。
「ウィンドブレーカーもレインコートも雪にはかなわなかった。全員びしょ濡れだった」
グループには20人いたが、数人に低体温症の兆候が見られたという。
ドンさんはヒマラヤを10回以上訪れているが、「こんな天候は経験したことがない」と話した。避難の際にも、湿った雪とみぞれが降っていたという。
「みんなゆっくり動いていた。ルートはとても滑りやすかった。氷のせいで私は何度も転んだ」
彼のグループは5日、クダンのホテルに到着し、夜を過ごした。ホテルは発電機で電気をまかなっていた。
翌朝、ホテルを出たとき、吹雪はようやく弱まっていたという。
「助けとサポートをもらって、みんなホッとしている」
ドンさんと一緒のグループにいたアウトドア愛好家のチェン・ゲシュアンさん(29)は、一行が引き返し始めた5日、雪は1メートルほど積もっていたという。
「私たちはみんな経験豊富なハイカーだ」、「だが、この吹雪は対処が極めて難しかった。脱出できて本当に幸運だった」、「今年の雪は異常だった」とチェンさんは話した。
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夫が吹雪で立ち往生したという女性は、夫がゆっくりと下山しているが、降り積もった厚い雪のために歩くのがかなり難しい状況だと、BBCに話した。
「救助隊にとってさえ簡単ではない。除雪して道を作らないとならない」
「夫のチームが無事に(救助隊に)つながることを願っている」
彼女の夫は、雪に埋もれるのが怖く、テントでほとんど寝られなかったと話していたという。
ハイカーの1人のエリック・ウェンさんは、一緒のグループだった3人が十分な服装だったにもかかわらず低体温症に苦しんだと、ロイター通信に話した。
ウェンさんによると、雪があまりに激しく、彼のグループは10分ごとに雪下ろしをしなければならなかったという。
中国は「黄金周」(ゴールデンウィーク)と呼ばれる国慶節の連休の最中で、国内観光のピークシーズンを迎えている。
10月は例年、晴天が多く、気温も快適なことから、エヴェレスト周辺のハイキングには格好の時期となっている。
ハイキングトレイルの「カルマ・ヴァレー」には、多くのハイカーが訪れている。このトレイルはあまり有名ではないが、エヴェレストの麓へと続く景色の美しいルートで、世界最高峰の眺めも楽しめる。
エヴェレストでは毎年多くの人が登頂を試みているが、非常に危険なハイキングと考えられている。
近年は、過度の混雑、環境への負荷、登山中の死亡事故などが問題となっている。
中国の隣国ネパールでは、豪雨で土砂崩れや鉄砲水が発生。道路がふさがれ、橋が流されるなどし、同国の当局は5日、2日間で少なくとも47人が死亡したと明らかにした。
中国では5日、台風21号(マットゥモ)が東部に上陸し、約15万人が避難を余儀なくされている。