【地球に存在する巨大な穴】宇宙から見た巨大な渦のような地形が形成された原因とは?(スペースチャンネル)

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ミール鉱山 出典:Staselnik

ロシア東部・サハ共和国の凍てつく大地の下に、世界でも最大級のダイヤモンド鉱山「ミール鉱山」があります。その直径は約1.2キロメートル、深さは525メートル。上空から見ると、まるで地球に巨大な渦を刻んだような姿をしており、世界の「最も大きな人工の穴」のひとつとして知られています。

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■ 誕生は1950年代、ソ連の“宝探し遠征”から

ミール鉱山 出典:Yanaudanenko

物語の始まりは1955年。ソ連の地質学者たちは、ヤクート自治共和国(現サハ共和国)での調査で、ダイヤモンドを含む火山岩・キンバーライトを発見しました。これは、ソ連で2例目となるダイヤモンド鉱床の発見であり、国家的快挙でした。

1957年、ミール鉱山の露天採掘が正式にスタート。しかし、そこは1月の気温がマイナス30度、年間の約7か月が氷点下という極寒地帯。冬には地面が凍りついて硬化し、鉄もタイヤも割れる寒さ。夏になると地面は泥沼化し、建物は地熱で地盤を溶かす恐れがあったため、すべて杭の上に建設されました。

掘削のためにジェットエンジンで凍土を溶かしたりダイナマイトで爆破するという過酷な作業が続き、夜には機械を覆って凍結を防いだといいます。それでも鉱山は順調に拡張され、やがてソ連最大のダイヤモンド鉱山へと成長していきました。

現在は、直径1.2キロ、深さ525メートルという途方もない巨大な穴として存在しています。その巨大さゆえ、下降気流による吸い込まれ事故を防止するために、上空をヘリコプターが飛行することは禁止されています。

■ 黄金期:年間1,000万カラットの輝き

ミール鉱山 出典:Google Earth

1960年代、ミール鉱山は年間約1,000万カラット(約2トン)ものダイヤモンドを産出。そのうち約20%が宝石品質という高い割合を誇り、ソ連経済を支える“国家の財宝”となりました。

特に地表から340メートルまでの上層部は1トンあたり4カラットという驚異的な濃度。1980年には342.5カラットの巨大原石が採掘され、「第26回ソ連共産党大会」と名付けられました。

露天採掘は2001年に終了しましたが、ミール鉱山の物語は終わりませんでした。1970年代から建設されていた地下坑道が本格稼働を始め、2009年に再稼働。これにより、さらに50年間の操業が見込まれており、約3,600人の労働者が従事しています。

2017年には、地下坑道が浸水し140人以上の作業員が閉じ込められる事故が発生しました。奇跡的に大多数が救出されましたが、8名が犠牲となり、鉱山の安全性が改めて問われる事態となりました。

しかしその8年後、2025年、ミール鉱山は再び世界の注目を浴びます。アルロサ社が、ロシア史上最大となる468カラットのダイヤモンドを発見したと発表したのです。その名も「大祖国戦争勝利80周年の宝石」。この発見は、ミール鉱山の“再生”を象徴する出来事となりました。

ミール鉱山は現在もシベリアの凍土の下で、静かに呼吸を続けています。これは人類が地球から宝を掘り出した「文明の象徴」であり、同時に自然の力に挑んだ記録でもあります。皆さんはこの穴の中に入ってみたいですか?ぜひコメントお待ちしています。

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