円安・ドル高が加速、145円台前半-日銀追加利上げ観測後退で
1日午後のニューヨーク外国為替市場では、日本銀行の政策決定会合後に強まった円安・ドル高の流れが加速。追加利上げ観測の後退を背景に、円は一時145円60銭台まで下げた。
日銀は経済・物価の見通しを引き下げ、さらに下振れリスクが大きいと指摘したほか、植田和男総裁は定例会見で各国の通商政策を巡る不確実性は極めて高いなどと発言。ハト派との受け止めから、円売り・ドル買いが加速している。
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円は一時1.8%安の1ドル=145円65銭まで下落。主要通貨で円の下げが目立っている。
ニューヨーク市場では、米供給管理協会(ISM)製造業指数の発表後に円売り圧力がさらに強まった。
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三菱UFJ信託銀行ニューヨーク支店資金証券室のファーストバイスプレジデント、横田裕矢氏は、日銀のハト派的なスタンスと、市場における円買いポジションの巻き戻しが、数週間のうちに円を1ドル=147円まで押し下げる可能性があるとの見方を示した。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、投機筋による円のネットロングは最近、過去最高水準に達していた。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では年内の追加利上げ観測が後退。4月初旬は確実視されていたが、今回の会合結果を受けて約36%に下がった。
ノムラの通貨ストラテジスト、宮入祐輔氏(ロンドン在勤)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、日銀は食品価格やサービスなど、国内のインフレ状況に注目していたが、いまや国際貿易により重きを置いたと指摘。植田総裁は日本の物価上昇率が2%に達していなくても利上げは可能だと述べ、発言のバランスをとろうとしたが、3月ほど確信していないと語った。
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円相場の見通しを巡っては、最近の円高の流れが続くとの見方は限られている。
関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、2日発表の米雇用統計が強い内容となれば、日本の連休前のポジション調整を背景に、円は1ドル=147円程度まで下落する可能性があると指摘した。
みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは、目先の利上げ観測後退で、円は売られやすい地合いになったとリポートで指摘。米貿易政策を巡る不確実性が安全資産への需要を引き続き押し上げても、金や他のコモディティー(商品)にマネーが逃避する可能性があると述べた。
原題:Yen Slides as Bank of Japan Pours Cold Water on Rate Hikes (1)(抜粋)