序盤で「切らなくてよかった」! 途中から急激に面白くなる神アニメ3選

毎クール多くのアニメが放送されているため、序盤の数話で視聴継続しない判断をするケースもあります。しかし、なかには序盤の評価を覆し、最終的に高い評価を受けた作品もありました。今回は、そんな「切らなくてよかった」と思えるアニメを振り返ります。

アニメ『天国大魔境』ビジュアル (C)石黒正数・講談社/天国大魔境製作委員会

 毎クール数多く放送されるアニメのなかには、序盤だけではその真価が分かりにくいスロースタートな作品も少なくありません。当初は微妙な評価だったにもかかわらず、物語が進むにつれて評価を覆したアニメを振り返ります。

※本記事は、『けものフレンズ』『天国大魔境』『Helck』のネタバレを含みます。

●『けものフレンズ』

 2017年に放送されたアニメ『けものフレンズ』は、このテーマを語る上で欠かせない作品です。放送開始前、原作ゲームアプリがサービス終了していたことや、当時はまだ3DCGのアニメが少なくなじみがなかったことから、第1話放送直後は多くの視聴者が「低予算アニメ」として見切りをつけていました。

 しかし、登場キャラから「かつてはヒトがたくさんいた」ことが示唆されたのをきっかけに、視聴を続けていた人びとの間で評価が変わり始めます。そして、「この物語の舞台は、人類が滅んだ後の世界なのではないか」という壮大なSF考察が、SNSで爆発的に広まったのです。

 それまでチープに見えていた世界観の全てが伏線に変わり、SNSを中心とした盛り上がりで、社会現象を巻き起こす話題作となりました。

●『天国大魔境』

 アニメ『天国大魔境』は、その難解な構造から序盤で視聴者がふるいにかけられた作品です。壁に囲まれた施設で暮らす子供たちを描く「天国」と、荒廃した日本を旅する男女を描く「魔境」のふたつの物語が特に解説もなく並行して進むため、「話がよく分からない」と感じる視聴者も少なくありませんでした。

 ただ、物語が進むにつれて、ふたつの世界を繋ぐ要素が少しずつ姿を現し、やがて物語の精巧な構造に気付いた視聴者は衝撃を受けます。この素晴らしい物語と制作会社Production I.Gによる圧倒的な作画のクオリティーで、「神アニメ」と呼べる作品でした。

 Web配信がDisney+独占だったせいか、日本のSNS上での盛り上がりはやや控えめでしたが、海外では多くのアニメ賞を受賞するなど高く評価されています。

●『Helck』

 アニメ『Helck』は、序盤の作風で視聴者を巧みにミスリードした作品です。「人間が憎い」と公言する人間の勇者が魔王の座をかけたトーナメントに参加するという突飛な設定と、ハイテンションなギャグ描写が続くため、多くの視聴者は本作を「異世界コメディアニメ」だと認識しました。

 しかし、13話から始まるヘルクの「過去編」で、物語の雰囲気が決定的に変わります。人間による魔族の迫害や、黒幕による狂信的な陰謀、そして最愛の弟や仲間に対する覚醒という名の洗脳など、壮絶な過去が語られたことで、序盤のコメディータッチな雰囲気は根底から覆りました。

 過去編を経ることで、序盤の明るいギャグシーンすらも、壮絶な悲劇を隠すためのヘルクの笑顔の裏返しであったと分かり、物語は深みを増していきます。ジャンルそのものを反転させる構成はみごとで、それまでの全ての出来事を伏線として機能させました。

(SU_BU)

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