アングル:米中の関税停止延長、Xマス商戦の仕入れ間に合わず
[ニューヨーク/上海 18日 ロイター] - 米国で今年人工のクリスマスツリーや各種装飾品を買い求めようとする消費者は、選択肢が減るとともに値上げに直面するだろう。中国向け追加関税によって小売業者が発注を縮小したためだ。
トランプ米大統領が8月11日、中国への関税の一部停止措置を11月10日まで90日間延長する大統領令に署名したことを受け、駆け込み輸入の動きが多少見られたものの、年末商戦関連の取引は既に大半が終了していた。多くの商品は発注から入荷まで半年ほどを要するため、小売業者はそれを勘案して前倒しで輸入するからだ。
米国際貿易委員会(ITC)のデータからは、米国向けの最大のクリスマス装飾品輸出国は中国で、昨年は40億ドル相当と全体の87%を占めたことが分かる。
バトラー氏は「(仕入れ先から)買い過ぎないようにしている。なぜなら消費者の需要がはっきりせず、割高な在庫を保有したくないからだ」と明かした。
大手小売業者は自ら在庫を抱えるリスクを避けようとして、ナショナル・ツリーに対して消費者に直接出荷してほしいと促す動きが普段よりも強まっている。
西部カリフォルニア州に拠点を置く同じ人工ツリー輸入会社バルサム・ヒルは、この年末商戦期に扱うツリーがおよそ15%減少すると想定。マック・ハーマンCEOは「(米中で追加関税停止が)90日間延長されたが、われわれが追加発注するには手遅れだ」と話した。
ハーマン氏は、小売業者は高止まりした価格でツリーを買いたくないため、トランプ氏が4月に対中関税率を145%に引き上げ、それから1カ月後に30%まで下げた時点で、注文数を縮小したと説明した。
バルサム・ヒルの仕入れ先は約80社で、このうち中国企業が半分に上る。
US-China Christmas decoration trade<難しい追加発注>
着せ替え人形「ブラッツ」を手がけるMGAエンタテインメントのアイザック・ラリアンCEOは、玩具に課せられる関税30%は「依然として過大」であり、販売価格を引き上げたとしている。
複数の業界関係者の話では、関税停止延長の合意に伴って追加発注を開始した事業者もいないわけではない。
米国靴流通・小売業者協会(FDRA)トップのマット・プリースト氏は、大半の靴メーカーは関税を巡る不透明感を理由に年末商戦の注文を絞ったが、ごく少数のメーカーは新規発注を通じて在庫の種類を拡大したと述べた。
ただ、発注を増やすのも一筋縄ではいかない。
概して、この関税延長は年末に向けた輸入にほとんど影響を与えない。FDRAのプリースト氏は、ほとんどの事業者にとって年末商戦の在庫は手元にある分だけだと指摘した。
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New York-based reporter covering U.S. consumer products and the companies that make them, and the role they play in the economy. Previously reported on corporate boards and distressed companies. Her work has included high-impact stories on CEO pay, Wall Street bubbles and retail bankruptcies.
Casey has reported on China's consumer culture from her base in Shanghai for more than a decade, covering what Chinese consumers are buying, and the broader social and economic trends driving those consumption trends. The Australian-born journalist has lived in China since 2007.