日銀が国債買い入れで意見聴取、一部メガバンクが減額加速を主張

 5月20日、日銀は国債買い入れを巡り債券市場参加者会合に先立って金融機関から寄せられた意見を列挙した説明資料を公表した。写真は日銀本店。1月撮影(2205年 ロイター/Issei Kato)

[東京 20日 ロイター] - 2026年4月以降の国債買い入れ方針などを検討するため、日銀は金融機関から意見聴取する債券市場参加者会合を20日から始めた。同日行われた銀行グループの会合では、減額ペースの加速や維持を主張する銀行が見られたものの、ペース鈍化を主張した参加者はいなかったもようだ。日銀が会合に先立って公表した金融機関の意見には、26年4月以降の国債買い入れ減額ペースについて、現行と同じ四半期当たり4000億円を支持する意見と、減額ペースを落とす意見が2つずつ掲載された。

日銀は6月の金融政策決定会合で国債買い入れ減額計画の中間評価を行う。市場参加者会合の焦点の1つは26年4月以降の買い入れのあり方だ。

20日午後に開かれた銀行グループの会合では、メガバンクの一角が26年4月以降の買い入れ減額ペースの加速を主張したもようだ。

出席した銀行関係者によると、あるメガバンクの担当者は、10年だけでなく先物に近いゾーンの日銀の保有比率が依然として高いため、超長期金利が急上昇しても先物のヘッジ機能が十分に果たせていないと指摘。金利形成をより市場に委ね、先物が十分に機能するようにするため、26年度は買い入れの減額を加速すべきだと主張したという。

同関係者は、同日の会合では買い入れの減額加速や減額ペースの維持を主張する銀行があった半面で、買い入れペースの鈍化をはっきり主張する出席者はいなかったと話している。

日銀が公表した金融機関からの意見を示した資料によれば、26年4月以降も四半期4000億円の減額を維持することを支持する意見は、現行ペースの減額が「大きな混乱なく市場で消化されている」ことや、予見性を根拠に挙げた。

一方で、減額ペースを落とすことを支持する意見としては「市場不安定化時に需給が悪化しやすくなるリスクを踏まえつつ減額を続けるために、四半期当たりの減額幅を2000億円前後まで減らすべき」とするものや、26年3月までの現行計画の下でも相応の水準まで減額が進むため「減額ペースを減速すべき」との意見が見られた。

このほか「市中流通玉を増やし、より自由な金利形成を早期に実現するために、現行の減額ペースから加速すべき」との意見が出された。減額をさらに進めると需給不安が拡大するとして減額を「いったん停止」することも選択肢とすべきといった意見や、段階的な減額を終了して「一度に大幅な減額を行うべき」との声もあった。

26年4月以降、新たに追加する計画期間については「期間を1年間延長し、現行計画同様に先行き2年程度の計画として示すことが望ましい」との意見が出ていた。一方で、26年4月以降1年以内に望ましい水準まで減額し、その後は同水準を維持する方針を示すべきとの意見もあった。

日銀の現行計画では、国債買い入れ額は26年1―3月に月2.9兆円まで減る。減額の着地点について、金融機関からは「現行の減額ペースを1年間維持し、1兆円程度まで減額を続けるべき」とする意見が出た。ただ、ほかにも多様な意見が見られた。

また「26年4月以降も中間評価を行うなど、柔軟性を持たせた枠組みとすべき」との意見も出されていた。超長期債の需給悪化が継続するのかをもう少し見極めた上で26年4月以降の買い入れを検討しても良いのではないか、との見方も示された。

金利が急上昇している超長期債については「減額の停止、買い入れ金額の増額、10年超の区分の統合といった柔軟な対応を検討すべき」との意見が出る半面で、超長期債の需給の悪化は「構造的」だとして「日銀が根本的に対応できる余地は小さい」との意見も見られた。

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