コラム:iPhone米製造に疑問符、大統領の意向に反しTシャツ生産と同じ憂き目
[香港 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ大統領は、自身の関税政策はTシャツやスニーカーでなく、より洗練された製品の米国生産を促進することが目的と表明した。電子機器のサプライチェーン(供給網)も標的となるなか、実際にスマートフォン(スマホ)やPC(パソコン)といった消費者向けデバイス生産で果実が得られるかは疑問だ。
トランプ政権は、半導体について連邦通商法232条の調査に乗り出している。調査は半導体を使用する製品も対象としており、スマホなどのデバイスも入る。調査の目的は、海外サプライヤーへの依存など、輸入品が国家安全保障に与える悪影響を評価することだ。その観点からすると、最終製品を対象に含めることは一定の意味がある。昨年の米国の半導体輸入額は820億ドル、コンピューターの輸入額は1000億ドルだった。S&Pによると、現在ノートPCとタブレットの輸入の約80%が中国からだ。
確かに、サプライチェーンを米国に持ち込めば、製造業の雇用が拡大するだろう。レノボは24年時点で米国で働く社員が全体(6万9500人)の15%にとどまり、60%は中国だった。しかし米国での生産は、すでに低い純利益をさらに減らすか、価格を押し上げるだろう。UBSのアナリストは、ノートPCの生産を米国に移すと、労働コストが現在の約5倍に跳ね上がる可能性があると指摘。自動化がさらに難しいスマホの生産では、さらに高くなる可能性がある。
トランプ氏は、デバイスをスニーカーと一緒に分類した方が得策だろう。
Chart shows Lenovo reported a net margin of 2% for the financial year 2024, similar to other manufacturers but lower than Apple, Alphabet and Microsoft.●背景となるニュース
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筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
Katrina Hamlin is global production editor, based in Hong Kong. She is also a columnist, writing on topics including autos and electric vehicles, as well as the gambling industry in Macau and Asia. Before joining Reuters in 2012, Katrina was deputy managing editor of Shanghai Business Review magazine. She graduated from the University of Oxford with an MA in Classics, and earned a Masters of Journalism with distinction from the University of Hong Kong.