トランプ氏、逆風の中で「外」へ-経済不安と関税批判で支持率低下
トランプ米大統領は就任後100日を迎える中で、自身の政策アジェンダを訴えるために各地を訪問する動きを強めている。有権者からの支持率低下と、外国指導者や投資家が抱く経済政策への懸念が背景にある。
トランプ氏は29日、デトロイト郊外を訪れ2期目の実績をアピールする演説を行った。5月には2つの大学の卒業式で祝辞を述べ、中東も訪問する計画となっている。
就任後これまでのトランプ氏は、平日はホワイトハウス、週末はフロリダ州パームビーチで過ごすというパターンに沿っており、週末には私邸「マールアラーゴ」で側近や支持者とゴルフや食事を楽しむのが常だった。
しかし、同氏の大規模な関税政策が株式市場の混乱を招き、米国民の経済不安を高める中、このような姿勢を疑問視する兆候も出ている。
ワシントン・ポストとABCニュースの世論調査では、トランプ氏の政権運営を「支持する」と答えた米国民の割合は39%で、2月の45%から低下。FOXニュースの調査によれば、最も評価が低かったのはインフレ対策と関税政策だった。CNNの調査でも、トランプ氏の経済運営を支持する人は4割未満にとどまった。
4月のミシガン大学消費者マインド指数によると、米世帯のセンチメントは前月から悪化し、長期的なインフレ期待は1991年以来の高水準となっている。懸念は主に関税政策への不安に起因する。
共和党の政治戦略家、アレックス・コナント氏は、「大統領の支持率が低下する時ほど、ワシントンから離れて国民のもとへ行くべきという考え方が強まる」と指摘。「人々に直接政策を説明すれば、支持が回復する可能性がある」という考えだと説明した。
ミシガン、オハイオ、ペンシルベニアといったトランプ氏が勝利した州でも消費者信頼感が選挙後に低下。コンファレンスボードの消費者信頼感指数によると、ペンシルベニア州では、昨年12月以降に大きく落ち込んでいる。
加えて、ジョージア州やネバダ州など、トランプ氏が制した激戦州で、昨年12月以降に雇用市場が悪化。アリゾナ、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンでは失業率が上昇している。
こうした中で、政権内部の一角は現地訪問を行わずとも、トランプ氏はホワイトハウスから発信すれば十分に注目を集められると主張。
一方、トランプ氏の顧問の1人は、直接支持者と会うことで得られるエネルギーは大きく、政策アイデアが生まれることもあると述べ、地方訪問の重要性を説いている。
原題:Trump Breaks White House Bubble, Hits Road as Approval Wanes (2)(抜粋)