メディアがGoogleを提訴。「AI OverviewsのせいでWeb閲覧が激減」

Image: Google

約9割減という調査結果も。

少し前からGoogle(グーグル)で検索すると、「AI Overviews(AIによる概要)」がトップに表示されるようになりましたね。AIなので間違いもありますが、大体それっぽいことが書かれてるので、ユーザー的には知りたいことがすぐにわかって便利です。

が、中身を要約される側のメディアとしては、「AI Overviewsがなければウチに来たはずのユーザーが来なくなった!」という実感があるようです。そんなメディアの1つがついにGoogleを相手取って訴訟を起こしました。

検索における独占的地位を利用、との主張

訴訟を起こしたのは、『Rolling Stone』や『The Hollywood Reporter』を傘下に持つ米国のメディア企業、Penske Media社。

彼らの訴えはシンプルで、検索結果トップにAIによる記事要約が表示されると、ユーザーは記事本体を読む必要がなくなったため、トラフィックが減ったのだというものです。Webサイト側としては、コストをかけて作った記事をユーザーが直接見てくれることで、広告なりサブスクリプションなりで収益を上げることができるのであって、サイトに来てくれなければお金になりません。

さらにPenske Mediaによると、Googleは検索における独占的な地位を利用し、Webサイト運営側がGoogleのコンテンツ利用を認めざるを得ないような強引な交渉をしているようです。

いわく、GoogleがWebサイトを検索対象に含める際の条件として、Webサイト側はGoogleがコンテンツを検索以外の目的(たとえばAI要約)に流用することに同意する必要があったのだとか。つまり「今まで通りGoogle検索結果に表示されたかったら、AIにコンテンツ使わせろよ?」という圧があったんですね。

Googleの言い訳苦しい

Googleの広報担当者は当然ながら、Penskeの主張を否定しています。Googleの広報担当者、Jose Castaneda氏はロイターに対し語っています。

「AI Overviewsでは、ユーザーは検索をより便利だと感じ、より多く使うようになるので、それはコンテンツが発見される新たな機会となります。こうした根拠のない主張に対しては反論していきます」

Googleのこのスタンスは、ここ最近「トラフィックが減ったんじゃ?」という声が大きくなる中でも維持されてきました。

先月Googleのブログでは、Google検索結果からのクリック数は「対前年比で比較的安定している」としていましたが、「比較的安定」とは具体的にどういう状態かが曖昧でした。また彼らは、クリックした人は以前よりWebサイトに長く滞在している、つまり「クリックの質」が向上したのだとも主張しています。

でも、それはWebサイト側の見解とは相容れません。『Daily Mail』を運営するDMG Mediaは、AI Overviewsの提供開始以来、クリック率が89%も落ちた言います。100あったものが89になったんじゃなくて、11になったってことなので、痛手なんてもんじゃありません。

またWall Street Journalも、『Business Insider』、『The Washington Post』、『HuffPost』のトラフィックがそれぞれ減少したと伝えているし、Pew Researchも、AI Overviewsがある場合は、AI Overviewsがない場合に比べてクリック率が約半分になるとしています。

Geminiは正直?

ちなみにGoogle Geminiに、GoogleのAI OverviewsがWebサイトへのトラフィックを減らしているかどうかを聞いてみると、答えはイエスでした。

「はい、Google検索結果のAI Overviewsは、多くのWebサイトやパブリッシャーのトラフィックを減らすことにつながっているようです。

Googleは、AI Overviewsはコンテンツ発見の機会になると言っていましたが、いくつかの研究やパブリッシャーからの証言からは、トラフィックに対するネガティブな影響が示唆されます」

なので、これを踏まえてGoogleに聞いてみたいですね。「AI Overviewsのトラフィックへの影響についてはウソをついているんですか? それとも御社のAIアシスタントが、虚偽の信頼できない情報を提供しているだけですか?」と。

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