探査機ロゼッタが分析した彗星の「におい」
【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)
(引用元:ESA)
2014年、欧州宇宙機関(ESA)の探査機「ロゼッタ(Rosetta)」から分離された着陸機「フィラエ(Philae)」は、人類初の彗星(核)への着陸を達成しました。その対象は「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P/Churyumov-Gerasimenko)」です。
フィラエは着陸後、近くのガスや表面の物質を短時間ながら計測し、有機分子を検出しました。ロゼッタ本体の観測とあわせて、彗星には想像以上に多様で複雑な有機物があることがわかってきました。
彗星のまわりには、淡いガスと塵がつくる包層(コマ)が広がっています。ロゼッタの分析装置がこのガスを調べたところ、硫化水素・アンモニア・シアン化水素などが見つかり、例えるなら「腐った卵」「馬小屋」「ビターアーモンド」のようなにおい、とESAが紹介しています。もちろん、実際の彗星表面は真空に近く、人が直接“におい”を感じることはできません。
当時、この「彗星のにおい」は話題となり、オープン大学のColin Snodgrass氏の監修で英The Aroma Companyが安全な代替成分で再現した香りサンプル「Eau de Comet」も登場しています。
なお、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は約6.45年の周期で太陽を回っており、次の近日点は2028年4月9日ごろと見積もられています。
※文中の”におい”に関する表現は、2014年10月23日公開のESAロゼッタ公式ブログを参照しています。当時は「猫のおしっこ」として広まりましたが、どうやら「horse stable(馬小屋=アンモニア臭)」を報じる際に各メディアが言い換えたもののようです。
編集/sorae編集部