心疾患の99%超、発症前に対処可能な危険因子があることが判明 対処法は?
ナトリウムを多く含む食品の摂取を抑えるなど生活習慣の改善が心疾患のリスクを低減させると専門家は指摘する/Creative-Family/iStockphoto/Getty Images
(CNN) 心臓発作や脳卒中などの心血管疾患が発症する前には、ほぼ必ず危険を知らせるサインが現れることが分かった。米心臓病学会の学術誌に29日に掲載された研究で明らかになった。
こうしたサインは心血管疾患の危険因子としてよく知られているが、心疾患の発症を減らすために講じられる対策はまだある。
この研究では、二つの集団のデータを分析した。一つは韓国の60万件超の心血管疾患症例、もう一つは米国の1000件の症例だ。
研究者らは、これらの症例について心血管疾患の従来の危険因子を先に持っていた割合を分析した。危険因子には血圧や血糖値、コレステロール、喫煙が含まれる。
その結果、心血管疾患や心不全、または脳卒中の症例の99%超で発症前に一つ以上の危険因子を有していたことが判明した。
研究の筆頭著者の一人フィリップ・グリーンランド氏はメールで「これら四つの因子が『軽度』であっても生活習慣の改善や薬物療法で対処すべきだ」と述べた。同氏はシカゴにあるノースウェスタン大学ファインバーグ医学部の予防医学教授を務める。
診断を超えて
ロサンゼルスにあるシダーズサイナイ医療センター・スミット心臓研究所心臓学部門のスーザン・チェン教授は、この研究がとりわけ重要な理由は、医師と患者がほぼすべての心疾患の症例において危険因子を管理できることを裏付けているからだと指摘した。同氏はこの研究に関与していない。
一部の研究は、従来のリスク指標が事前に示されない心血管疾患症例が増加していることを示唆している。これは、医療専門家が管理可能な要因には対処しているものの、研究者がまだ把握していない他の要素が要因となる可能性があり、効果的な予防戦略を提供できないことを示唆している可能性があるという。
チェン氏によると、この研究の特徴は、科学者が危険因子の有無を判断する際に、糖尿病や高血圧の診断だけに頼らず、患者の医療データも調べた点にある。
高血圧や高血糖と診断されていないからといって、必ずしも危険因子を示唆していないわけではない。より広範な医療データを検討することで、ほぼすべての症例で、心血管疾患発症前のカルテに、従来型の修正可能なリスクが既に存在していたことが明らかになったという。
したがって、臨床医と患者が心臓病のリスクを軽減したいのであれば、血糖値や血圧、コレステロール、喫煙といった危険因子の管理を継続していくことが最善の策となるだろうとチェン氏は指摘した。
健康な検査結果と健康的な行動
心血管疾患の危険因子に変わりはないが、それらを管理するための技術は進化している。
手始めに良いのは高血圧の管理だ。血圧計を入手すれば自宅で血圧値を把握できる。
専門家は、研究で検討された臨床的危険因子に加えて、生活習慣上の危険因子を改善することも重要だと述べている。
良質な睡眠、運動、栄養、健康的な体重、そしてストレスの軽減を維持することは心血管疾患のリスクを下げる鍵になる。
ストレスやうつ病は、喫煙や糖尿病と同程度の強力な危険因子であることが判明しているという。