2025年8月5日の火星の風景:キノコのような岩はどこから来たのか
(引用元:NASA)
キノコのような岩が写っている
アメリカ航空宇宙局(NASA)が公開している「Mars Perseverance Raw Images」では、火星探査車「Perseverance」が撮影したRAW画像を日々更新しています。今回ご紹介するのは、Perseveranceのミッション第234週にあたる2025年8月5日に、マストにある左のMastcam-Zで撮影された1枚です。
※…2025年8月5日はPerseveranceのミッション1585ソル目にあたります。1ソル(Sol)は火星の1太陽日を指し、地球時間で約24時間40分に相当します。
今回の画像の左側には、キノコの傘のようにも見える岩が写っています。この岩は、地中から頭を出した大きな岩の一部というより、どこかから運ばれてきてこの場所に置かれている岩と考えるのが妥当です。
その根拠は、周囲の地面と比べて色がはっきりと異なること、表面にやや丸みがあること、そして表面の細かな砂ぼこりの付着が少なく見えることです。これらを踏まえると、近くの斜面から転がり落ちて現在の位置にとどまった数十センチ程度の岩である可能性が最も高いとみられ、風がこのサイズの岩そのものを運ぶとは考えにくいです。
一方で、隕石の衝突で飛び散った破片である可能性も残ります。とはいえ、この形になった理由は本画像のみでは判断しきれません…。
ひとことコメント
キノコのような、いや、お化けのようにも見える不思議な形が印象的な1枚でした。変わった岩が写り込むたび、その成り立ちを考える楽しみが生まれます。
火星探査車Perseveranceとは
Perseveranceは、NASAが2020年に火星に送った探査車で、火星の地質や気候の調査、古代生命の痕跡の探索、将来の有人火星探査に向けた技術実証を目的としています。
【▲ 火星探査車Perseveranceに搭載されている観測装置の位置を示した図。Mastcam-ZとSuperCamはどちらもPerseveranceのマスト、通称“ヘッド(頭)”と呼ばれる部分に搭載されている(Credit: NASA/JPL-Caltech)】Mastcam-Zについて
Mastcam-Zは、Perseveranceのマストに搭載されている2つのカメラシステムで、主に火星の地形や岩石を立体的に撮影することができます。2012年8月に火星に着陸した火星探査車「Curiosity」に搭載されたMastcamから改良が加えられており、Mastcam-Zは最大4倍のズームが可能となっています。
なお、NASAによるとMastcam-Zの「Z」は、Zoomを意味するものだといいます。
【▲ 火星探査車Perseveranceのマスト部分の拡大画像。Mastcam-ZとSuperCamの設置場所がわかる(Credit: NASA/JPL-Caltech)】編集/sorae編集部