インタビュー:次世代電池の出荷前倒し、AIスマホの需要に対応=TDK社長

 TDKの斎藤昇社長はロイターとのインタビューで、スマートフォン(スマホ)メーカーが相次ぎ投入する人工知能(AI)搭載製品の需要を取り込むため、より容量が大きな次世代シリコン負極電池の発売を前倒したことを明らかにした。13日、都内で撮影(2025年 ロイター/Sam Nussey)

[東京 16日 ロイター] - TDK(6762.T), opens new tabの斎藤昇社長はロイターとのインタビューで、スマートフォン(スマホ)メーカーが相次ぎ投入する人工知能(AI)搭載製品の需要を取り込むため、より容量が大きな次世代シリコン負極電池の発売を前倒したことを明らかにした。さらに1つ先の世代のシリコン負極電池を来年中に投入する考えも示した。

TDKはスマホ向け小型電池で世界シェアトップ。負極材料にシリコンを使った電池の第3世代製品を今夏に出荷する予定としていたが、斎藤社長は「まもなく開始する」と述べた。シリコン負極電池は従来よりも容量が大きく、消費電力の大きなAI搭載スマホの普及に伴い需要の拡大が見込まれる。

調査会社のIDCが4月に発表した2025年1─3月のスマホ出荷シェアは、韓国サムスン電子(005930.KS), opens new tabが首位に返り咲いた。IDCは、AI搭載モデルを手ごろな価格で市場に投入したことを要因の1つに挙げた。

TDKは電池の改良を続けており、斎藤社長は容量がさらに改善した第4世代のシリコン負極電池を「来年中に展開することを目指している」と語った。

同社は4月の決算発表で、25年3月期からの3年間の設備投資を従来計画の7000億円から8000億円に増額すると公表した。そのうち電池を含むエナジー部門が半分以上の4500億円を占める。

26年3月期の連結営業利益(国際会計基準)については、前年比0.4%増の2250億円をベースシナリオとしながらも、米関税の影響を踏まえ、リスクシナリオとして同19.7%減の1800億円になる可能性も提示した もっと見る

斎藤社長は、最も大きな影響を受けるのは米国市場であり、スマホやその他の電子機器の需要に影響を与える可能性があると指摘。「私はまだ心配している」と述べ、懸念すべき状況が続いているとした。

*インタビューは13日に実施しました。

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