EU、ロシア原油の上限引き下げをG7に提案へ-1バレル=45ドルに
- ノルドストリームも禁止へ-G7で米含む各国指示取り付ける方針
- G7各国の事業者は、上限価格上回る原油の輸送や仲介禁止
欧州連合(EU)は10日、ロシアに対する追加制裁の一環で、天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」の禁止と、主要7か国(G7)で原油価格の上限を1バレル当たり45ドルに引き下げることを提案した。ウクライナ侵攻を継続するロシアに、戦争終結を促す狙いがある。
EUの執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は10日、ブリュッセルで記者団に対し「私たちのメッセージは非常に明確だ。この戦争は終わらせなければならない」と強調した。
ウクライナ侵攻が4年目となり、EUはロシアに対する措置を一段と強化している。一方、米国のトランプ大統領は、無条件の停戦要求を後退させる姿勢を見せている。
EUは、6月23日に予定されているEU外相会合で制裁案の採択を目指しており、内容は今後変更される可能性もある。制裁には27全加盟国の同意が必要だ。
原油価格上限の引き下げには、米国の支持も必要となる。G7は今月下旬、カナダで首脳会議を開く。G7加盟国の事業者は、現在1バレル当たり60ドルに設定されている上限価格を上回る価格で取引される原油の輸送や仲介を禁じられている。
今回のEUの提案は、トランプ氏が先週、「ロシアとウクライナの戦争が続いても静観する可能性がある」と示唆したことを受けたものでもある。米議会では超党派の多数派が支持する制裁法案を通じて停戦を強制する動きもあるが、こうした議員らも、今のところは大統領に対して明確な対決姿勢を示す気配はない。
ドイツはすでにノルドストリーム制裁案を支持している。ドイツのメルツ首相は5日、ホワイトハウスでトランプ氏と会談し、ロシアのプーチン大統領への圧力強化の必要性を訴えたが、会談後の発言は慎重なものにとどまった。
原題:EU Proposes Cutting Oil Price Cap to $45 to Hit Russian Revenue(抜粋)