自転車でエッフェル塔の階段上り、686段制して世界記録達成 フランス

自転車に乗ってパリ・エッフェル塔の階段を上る記録に挑戦したオーレリアン・フォントノワさん/Reuters

(CNN) フランスの自転車トライアル選手で動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のスターのオーレリアン・フォントノワさん(35)が、自転車に乗ってパリ・エッフェル塔の階段を上る記録に挑み、686段を制して世界記録を達成した。

階段で上がれる最上階の2階に到達するまでにかかった時間は12分30秒。2002年にユーグ・リシャールさんが達成した記録を7分近く上回った。

エッフェル塔の階段上りに挑んだのは3日。この挑戦は、ゴールにたどり着くまで地面(階段)に足を着くことが許されず、自転車のペダルをこぐ動作はほとんど伴わない。

フォントノワさんは「ブレーキをかけてタイヤを圧縮しなければならない。サスペンションも何もない硬い自転車だから」「ただブレーキを使ってタイヤで跳ねるジャンプを繰り返すだけ」とCNN Sportsに語った。

この日のためにジムや縄跳びのトレーニングを重ね、過去にはパリ市内のビルやエストニアの首都タリンのテレビ塔も制覇した実績をもつ。

エッフェル塔に挑む計画を立てたのは3~4年前だったという。しかしその後、コロナ禍やパリオリンピック、エッフェル塔の改修などが重なって、実現はずれ込んだ。

「チャンスは一度しかなかった。前回の記録は02年で、新たな挑戦までに20年を要した。相当な準備が必要だったから。だからそのチャンスを逃したくなかった。それはちょっとしたストレスだった。友人にもスポンサーにも『挑戦して記録を破る』と宣言していたから、みんなが自分に期待していた」

世界記録の達成については「12分かかって(ゴールに)着いた時はヘトヘトだったけれど、12分で100%出し切った」「ものすごくうれしかった。人には見せなかったけれど、この記録への挑戦はちょっとしたストレスだったから」と振り返る。

マウンテンバイクレースを引退したのは5年前。注目の世界記録への挑戦は、自分自身に挑み続け、自分が大好きなスポーツを宣伝することが目的だったが、それ以外にも現実的な理由があった。

トリニティ・タワーに挑むフォントノワさん=2021年1月/Martine Bureau/Getty Images

「自転車トライアルのような小さなスポーツは、競技だけで生活していくのが難しい」「だから稼ぐ手段を見つけるか、スポンサーを見つける必要がある」

フォントノワさんの場合、TikTokやユーチューブに自身の挑戦の動画や解説動画、自転車評などを掲載し、100万以上のフォロワーを獲得している。

「もっとたくさんコンテンツを制作して視聴者を増やすことを考えた。これがどんなスポーツなのか見てもらい、まだやったことのないクレージーなことをやるというアイデアも良かった」

挑戦はこれからも続く。「自分の計画は最大級のタワーに上ること」とフォントノワさんは笑顔を見せ、「だから既に世界中のタワーと連絡を取っている」と打ち明けた。

「最終目標は、世界最高層のブルジュ・ハリファに上ること」

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