雑談がツライ、苦手…急増する「コミュ障の若手」が能力を発揮できる「意外すぎる職種」とは
仕事そのものの能力については問題ないのだが、コミュニケーションが苦手すぎるために、せっかくの知識や能力を生かせていない人物というのがいるものである。そのような人物を戦力にしていくには、どのような対処が望ましいのだろうか。(心理学博士 MP人間科学研所代表 榎本博明)
人に気をつかいすぎて疲れてしまう
コミュニケーションが苦手という若い世代が増えているようだ。それには対面で人と関わらなくても暮らせてしまう現代のライフスタイルも大いに関係していると思われる。
子ども時代に近所の遊び集団で鍛えられ、年上・同年・年下の子どもたちとのかかわり方を体得してきた年配者と違って、同級生としか遊ばず、塾や習い事で仲間との遊び時間も少なく、またゲームなど室内でひとりで遊べる道具も普及したせいか、人とのかかわりに困難を感じる人が増えてきた。
元々私たち日本人には、人に気をつかいすぎて疲れてしまう心理傾向があるが、そうした心理を顕著に身につけているため、人づきあいを極力避けてきた人もいる。そのような従業員を抱える経営者は、その活用の仕方について日々迷っているという。
「とても勉強熱心で、担当する仕事に必要な知識をしっかり身につけていて、関連する情報の収集にも余念がなく、商品知識も豊富だから、営業の最前線で活躍してもらうつもりでいたんですけど、訪問営業を積極的に進めてもらったところ、どうもうまくいかないんです」
――というと、どのようにうまくいかないんですか?
「あんなに商品知識があるのに、どうして成果につながらないのか、不思議に思っていたんですけど、だんだんわかってきたのは、人とのコミュニケーションが苦手だということなんです」
――人とのコミュニケーションが苦手……それで訪問営業を進めるにもいろいろ困難が伴うというわけですか。
「そうなんです。頭の回転も速いし、商品知識も豊富で、関連する情報にも通じているので、きっと先方の信頼を得られるはずだから、自信をもって進めるようにいうんですけど、『自分は人としゃべるのが苦手だし、場を和ませるようなトークもできないから』といって尻込みするんです」
――コミュニケーションによほど自信がないんでしょうね。営業先ではどんな感じなんでしょうか。
「本人によれば、商品やサービスの説明のための知識はちゃんと頭に入れているから、資料を示しながらきちんと説明はできるというんです。じゃ、何が問題なのかと尋ねると、先方に行って、担当者と会っていきなり説明に入るわけにもいかないし、説明が終った後もいきなり帰るわけにもいかないじゃないですか、それがプレッシャーなんです、っていうんです」
――なるほど。必要なことは言えるけど、その前後の雑談が苦手で、そのプレッシャーに押し潰されそうになるから、訪問営業は苦痛だということですかね。
「そうなんです。気の利いた雑談ができないから、訪問営業はものすごいプレッシャーがかかるっていうんです」
――それは対人不安の一種ですね。