インド、トランプ関税に初の報復措置提案-二国間貿易協定交渉に影

Shruti Srivastava

インド政府は米鉄鋼・アルミニウム関税に対抗し、一部の米国産品に対する関税賦課を提案した。これはトランプ米大統領の関税措置に対するインド初の報復措置となる。一方で、両国は二国間貿易協定の最終合意に近づいている。

  インド政府は世界貿易機関(WTO)に対し、米鉄鋼・アルミ関税はインドの貿易に悪影響を及ぼす「セーフガード(緊急輸入制限)措置」だと通告した。12日に公表された通告によると、WTO加盟国に対して約束した関税の上限(譲許)の停止などの対抗措置を取る権利は現時点では行使せず、留保した。

  トランプ氏が先月、新たな関税を相次ぎ発表した際、インドは報復措置を控え、二国間貿易協定の交渉を優先する構えを示していた。両国は今秋までの合意を目指している。

  ニューデリーに本拠を構えるシンクタンク、グローバル・トレード・リサーチ・イニシアティブの創設者アジャイ・スリバスタバ氏はインドのWTO通告について、「極めて微妙なタイミングで行われた」と指摘。「インドと米国は幅広い自由貿易協定を検討しており、今回の報復措置が交渉の行方に悪影響を及ぼしかねない」と説明した。

  WTOへの通告によれば、米鉄鋼・アルミ関税はインドからの76億ドル(約1兆1200億円)相当の輸出品に影響し、関税徴収額は19億1000万ドルに上る見込みだ。

   インドはこれを踏まえ、米国産品に対して譲許を停止し、同等額の関税を課すことをWTOに提案した。ただし、対象となる具体的な品目については明らかにしていない。

原題:India Proposes First Counter Move Against Trump’s Tariff Regime(抜粋)

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