ロシア、ウクライナと首脳会談との観測に慎重姿勢 トランプ氏もプーチン氏が「取引を望まない」可能性あると認める
ラウラ・ゴッツィ、BBCニュース ロシア大統領府(クレムリン)は19日、ウラジーミル・プーチン大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が近く首脳会談をするとの見方に対して、それには必要な手順を踏む必要があるとして、慎重な姿勢を示した。一方、アメリカのドナルド・トランプ大統領はこの日も、ウクライナでの戦争終結に向けた両首脳の会談を改めて呼びかけた。 トランプ氏は、15日に米アラスカ州でプーチン氏と会談したのに続き、18日には欧州首脳7人とゼレンスキー氏を米ホワイトハウスに迎えて会合をもった。 翌19日、トランプ氏はウクライナでの紛争の解決は「難問だ」と認め、プーチン氏に戦争行為を終わらせる意向がない可能性があるとの考えを示した。 トランプ氏は、「プーチン大統領については今後数週間のうちにはっきりするだろう」と発言。「彼が取引を望まない可能性もある」とし、その場合、プーチン氏は「厳しい状況」に直面すると述べた。詳しい説明はしなかった。 プーチン氏は18日にトランプ氏に、ウクライナ側との直接協議について「オープン」だと伝えた。 だが、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は19日、いかなる会談も「徐々に、(中略)専門家レベルから始め、その後に必要なすべての段階を経て」準備される必要があると主張。クレムリンが頻繁に使う言い回しを繰り返し、不透明だったプーチン氏の姿勢をさらに分かりにくくした。 ロシアのドミトリー・ポリアンスキー国連次席大使も、直接会談の機会は「誰も拒否していない」ものの、「会談するための会談であってはならない」と、BBCに話した。 ロシアとウクライナの首脳会談をめぐっては19日、プーチン氏がトランプ氏に、ゼレンスキー氏のモスクワ訪問を提案したと報じられた。ただ、ウクライナがこれに応じる可能性はほぼない。 この提案は、ウクライナが到底同意できない、あり得ない案をロシアが提示するという、ロシアの手法だった可能性がある。 ■和平合意ならアメリカは「空から」支援と トランプ氏はこのところの一連の会談を通して、この戦争がいかに複雑か、ロシアの要求とウクライナの立場にどのような溝があるのか、改めて理解したようだ。 プーチン氏から停戦の合意を取り付けると、トランプ氏はかつて主張していた。しかし、大いに吹聴されたこの停戦は、結局実現していない。トランプ氏は今では、ウクライナとロシアは停戦ではなく、恒久的な和平合意に直接向かうべきだと、主張を変えている。ただ、ウクライナの安全の保証という点では、一定の前進をもたらした。 和平合意が成立した際には、安全の保証こそがウクライナの主権にとって最も重要になるということを、ゼレンスキー氏と欧州指導者らはトランプ氏に納得させたとみられる。 トランプ氏は19日、ウクライナで停戦や和平合意が成立した場合、ヨーロッパが地上軍を提供するなら、アメリカは「空から」支援する用意があると述べた。 ただ、トランプ氏は具体的な内容には踏み込まず、そうした支援が情報活動や戦闘機の使用を伴うのか明らかにしなかった。 一方、フランスとイギリスが主導する「有志連合」は、戦争行為が終結した後にウクライナに派遣する可能性のある再保証部隊の計画を固めつつあるとしている。 19日の有志連合のオンライン会合の後、英首相官邸の報道官は、「強固な安全の保証を提供する計画をさらに強化する」ため、有志連合は数日中にアメリカ側と会談すると述べた。 トランプ氏は、プーチン氏、ゼレンスキー氏との会談を経て、両氏が直接会談することで和平合意が近づくと考えているようだ。ただし、両氏の間に「ものすごい反目」があることも認めている。 両氏が最後に会談したのは2019年だった。その後、ロシアはウクライナに戦争を仕掛け、何万人もの死者と広範囲の破壊、現在も続く民間人への空爆をもたらしている。 プーチン氏はゼレンスキー氏を正統な指導者とみなしておらず、ウクライナが西側に接近しているのはゼレンスキー氏のせいだと考えている。ここ数年は、ウクライナが「ネオナチ政権」に支配されているという根拠のない主張を繰り返し、停戦にはウクライナ指導者の交代が必要だと主張してきた。 さらにロシアは、自国の軍隊が前線で優位に立っている間は、話し合いには前向きではない。 それでも欧州首脳らとゼレンスキー氏は、2者会談を支持している。ゼレンスキー氏は18日、プーチン氏との会談について、「どのような形式でも」受け入れると発言。欧州首脳らも、会談場所について提案している。 首脳らは、直接会談を強く支持することで、プーチン氏が戦争終結に向けた措置を取る気がないままなら、トランプ氏にロシアに対する姿勢を厳しいものに戻させようとしているのだろう。 紛争解決は近いという楽観論について、トランプ氏に比べると欧州首脳たちははるかに後ろ向きだ。 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は19日、プーチン氏を「捕食者で、私たちの戸口にいる鬼」と呼び、同氏に和平に向けた努力の意思があるのかは「最大の疑問」だとした。 フィンランドのアレクサンドル・ストゥブ大統領は、プーチン氏を「めったに信用できない」とし、ゼレンスキー氏との会談実現について懐疑的な見方を示した。 トランプ氏が欧州をどこまで支持するつもりなのか疑問が残るなか、今後数日間でさらに高官級の会談が開かれる予定となっている。 イギリスの軍制服組トップのトニー・ラダキン国防参謀総長は、ウクライナへの再保障部隊の派遣について協議するため、米ワシントンを訪れる。北大西洋条約機構(NATO)の幹部らは20日、オンライン会合を開く予定だ。 (英語記事 Kremlin plays down Zelensky talks as Trump warns Putin may not 'want to make deal')
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