サム・アルトマンって「お金の人」なの?それとも「使命の人」なの?

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いったん、非営利のままで進むそうです

一度は自分の会社OpenAIに解雇されたサム・アルトマンですが、今はCEOに返り咲いています。そして2025年5月第2週、現在の非営利組織構造を当面は維持すると発表しています。営利化を狙っていたOpenAIに対して、創業者のひとりだったイーロン・マスクは話がちがう!とOpenAIを訴えていました。

OpenAIが営利化したかった理由は、もちろんお金

非営利組織であるということは、株主への投資リターンを提供することによって動かされているのではなく、「汎用人工知能が全人類に利益をもたらす」という使命に焦点を当てているということ。

そして非営利であるがゆえ、OpenAIの資金調達活動でも複雑さに直面していました。今年初め、ソフトバンクなどから400億ドルの資金を確保しましたが、その資金はOpenAIが営利企業への再編計画を完了することが条件となっていました。現在、資金調達は保留状態にあるということです。

子会社は営利企業

非営利のOpenAIではありますが、子会社は引き続き営利のままで行くとのこと。しかし、子会社はLLC(有限責任会社、出資者の責任が出資額までに限定される会社形態)からPBC(公益法人、公益と利益を両立する企業形態)へ移行する予定だそうです。

この変更の理由について、一部では将来的にOpenAIが株式公開しやすくなるためだと推測されています(利益追求と社会的使命の両立が法的に明確になり、投資家の信頼を得やすくなり、株式公開時に必要な資金調達もしやすくなる)。

非営利理事会はPBCの主要株主となり、引き続き会社を監督・管理していくことになります。この移行により、LLCとして運営していた際の利益上限構造(投資家への還元を100倍に制限していた)も見直されるようです。

サム・アルトマンは「お金の人」か、それとも「使命の人」かは闇の中

OpenAIの営利企業化への試みは、これまでいろんな人たちから反対されてきましたが、もちろんその反発の理由が利他的だったわけではありません。

たとえばイーロン・マスクの場合、サム・アルトマンと喧嘩した逆恨みから営利化を阻止するための訴訟を起こしているっぽい感じもありました。

またメタも営利化に反対しましたが、これはメタがChatGPTの競合製品を開発していて、OpenAIの資金調達能力を妨げたいという思惑が少なくともあったであろうことは想像に難くありません。

他の非営利団体も、「公共の利益」のために使われるべきお金をOpenAIが自社の利益を増やすために使うのではないかと懸念して営利化に異議を唱えていました。

アルトマンが嘘をついた疑いで自分を解任しようとした理事会を成功裏に追い出し、現在は新しい理事会メンバーを味方につけていることを考えると、アルトマンが実際に非営利団体の掲げた使命を果たしているのか、それとも彼と考え方の方向性が一致していて、多額のお金を手にする立場にある理事会の承認を得て、単に収益を最大化しようとしているのか、そのあたりはまだよくわからないままです。

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