小型&低価格化した「新Surface」実機レビュー:マイクロソフトの悲願「Copilot+ PC」普及への一歩に
今回の新製品には2つ特徴がある。 1つは、冒頭で述べたように「少し小さくて価格が安い」こと。そしてもう1つが「プロセッサーがSnapdragonであること」だ。 プロセッサー展開にしてもサイズにしても、2024年版のSurfaceがどうだったか比較しながら考えるのが近道だ。ここでは、筆者私物の2024年版「Surface Pro 13インチモデル」と比較しながらチェックしていく。 2024年、Windows PCには大きな転機がやってきた。それが、同年5月に発表され、6月中旬から展開された「Copilot+ PC」だ。 Copilot+ PCとは、特定のハードウェア条件を備えたWindows 11搭載PCのことだ。PCの使用履歴から、文章やキーワードで目的の情報を探し出す「Recall」、ファイル検索を自然文で行う機能などが使えるようになる。 だが現状、Copilot+ PCは普及しているとは言い難い。 目玉機能である「Recall」のセキュリティー面での見直しなどが影響し、テストを終えて一般公開がスタートしたのは2025年4月。マイクロソフト側も「ようやくこれからが販売の本番」と話す。 その中で、新しいSurfaceは大きな武器だ。最も重要なポイントは「価格」だろう。 以下の表は、マイクロソフトでの直販価格をもとに、Copilot+ PC対応Surfaceの最低価格をまとめたものだ。 機種名 本体価格 キーボード(スリムペン付き)価格 合計 Surface Pro 13インチ 20万7680円から 4万5320円から 25万3000円から Surface Laptop 13.8インチ 20万7680円から なし 20万7680円から Surface Pro 12インチ 14万9380円から 4万4880円から 19万4260円から Surface Laptop 13インチ 16万4780円から なし 16万4780円から いずれも2025年6月23日時点の直販価格(税込)。 上2つは2024年発売、下2つは今回の新製品の最低価格だが、価格は大幅に下がっている。Surfaceシリーズは、教育市場向けを除くと価格よりも品質重視な傾向があるが、今回は価格を下げてきた。 マイクロソフトはこれまで、「少し小さいサイズ」「低価格」のモデルを教育市場向けに提供してきたが、今回の製品もその流れに近い。 ただし、低価格での提供を主軸としていた教育向けモデルとはやはり違う。 新型はサイズが小さくなり、いくつかの機能で割り切りも行われている。 ディスプレイ解像度が若干下がったこと、キーの左右が狭くなりEnterキーが押しづらくなったことには議論があるだろうが、サイズとのトレードオフとして納得できる範囲だ。 特に違いがわかりやすいのが12インチ版Surface Proだ。 2024年発売の13インチ版では新しいキーボードとペンが採用された。キーボードはBluetooth接続でも使えるため本体から離して使用でき、ペンの収納もキーボード内だった。 新型はキーボードのBluetooth接続機能とペンの収納場所がなくなり、シンプルな作りになった。ペンはSurface Proの背面に貼り付ける形だ。 これは、別売であるキーボードの低価格化以上に、Surface Proのシンプル化が目的と思われる。 どちらの製品も、これまで使われてきたSurface専用コネクタがなくなっており、コストカットの意図は明白だ。 同時に、Surface ProについてはACアダプターが別売になった。45WタイプのUSB Type-C対応ACアダプターならどれでも使える。写真は別売の純正品だが、スマートフォン用の充電器でも使用可能だ。 一方、Surface Laptopの方は従来通りACアダプターが付属する。 電源が共通化されてきた今、スマホでもACアダプターは同梱されなくなっている。PCでもその流れはあるだろう。 一方で、Surface Proについては「とにかく見かけの価格を下げたい」という意図が明白だ。
西田宗千佳[ITジャーナリスト]