テーマは「宇宙」と「量子コンピューター」:日本科学未来館でスタートした2つの新展示
宇宙に関する疑問を生成AIに投げかけられる対話型の展示「AIと語る宇宙」もぜひ試してみてほしい。システム開発・デザインを、アーティストでAI研究者の徳井直生率いるQosmoが担当している点に注目したい。この展示では、知識豊富な「科学者」やロマンチストの「吟遊詩人」など、Qosmoが開発を手がけた7つのキャラクターが登場。展示を通して浮かんできた問いを投げかけ、語り合うことができる。生成AIならではの回答で、宇宙観測の新たな視座を得られるかもしれない。
あわせて、地球の科学データにアクセスできる常設展示「ジオ・スコープ」もリニューアルしている。「世界の消費電力量」や大気中の「エアロゾルの濃度」、さらには各国の「ビッグマックの価格変動」まで、8つの最新データが新規収録された。またデータを音で表現し、アクセシビリティを高めた「耳で楽しむモード」を搭載した端末も登場している。
PHOTOGRAPH BY KAORI NISHIDA
どの展示も研究の最前線が網羅されていることはもちろん、まだ見ぬ未来に期待を抱かせてくれる。新常設展示のオープンを機に、革新のフロンティアを実感できるコンテンツが盛りだくさんの日本科学未来館を訪れてみてはどうだろうか。
Information
日本科学未来館住所:東京都江東区青海2丁目3番6号開館時間: 10:00〜17:00(入館券の購入および受付は16:30まで)休館日: 火曜日(火曜日が祝日の場合は開館)、12月28日~1月1日
常設展チケット: 常設展(大人630円、18歳以下210円、未就学児無料)
PHOTOGRAPH BY KAORI NISHIDA
(Edit by Erina Anscomb)
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