猛吹雪のためエベレストで立ち往生、脱出するため調理鍋で雪かき 登山者が当時を振り返る

雪に閉じ込められた登山者を救助するため、牛や馬を連れて救助活動を行う村人たち=5日/Lingsuiye/AP

(CNN) チベット側のエベレストで友人たちと登山を楽しんでいたフェン・ホリデーさん(30)の旅は、突如として恐怖の体験へと変わった。10月にしては異例の猛吹雪に見舞われ、フェンさんをはじめとする数百人の登山者が危険な状況に取り残されたのだ。

フェンさんのグループは今月1日、中国チベット自治区シガツェの集落を出発し、エベレスト東側の景勝地ガマ渓谷を目指していた。しかし出発から3日後、思いもよらぬ猛吹雪が発生した。

フェンさんは、例年にない大雪でテントが倒壊し、登山道が埋もれた4日の夜、標高約5000メートルの地点で足止めとなった数百人の登山者の一人だった。

中国国営中央テレビ(CCTV)の6日午前の報道によると、約350人の登山者がクダンという小さな町に無事避難した。さらに200人以上の登山者とも連絡が取れており、当局の救助を待っている。

チベット当局は5日、物資は十分にあり、人員の安全は確保されていると明らかにした。救援チームが取り残された登山者を支援しているという。

中国当局からの避難状況に関する最新情報は限られている。中国共産党が統治するチベット自治区では情報が厳しく統制されている。

Geshuang Chen via Reuters

鍋で雪かき

フェンさんは熱心な登山者で、当初は雪が降り始めても心配していなかった。装備は整っていたからだ。しかし、雷鳴がとどろき吹雪が激しくなるにつれ、不安が募ったという。

「真夜中には雪がどんどん強くなり、寝袋では耐えられなくなった。中に結露がしたたり落ちて湿っぽくなってしまった」とフェンさん。「それで外に出て雪かきをしなければならなかったが、仲間たちも雪に埋もれていることがわかった。みんなで一緒に雪かきをしなければならなかったが、道具がなくて調理鍋しか使えずに、本当に大変だった」

エベレストの山頂付近では4日に約95センチの積雪が観測されたとされ、例年の同時期の週平均降雪量の約3倍に達した。

10月はモンスーンが明けて空が晴れる時期で、エベレスト周辺の登山シーズンとして最も人気が高い。また、中国の大型連休とも重なっていた。

「今年の天候は異常だ。ガイドも10月にこんな天気は経験がないと言っていた。本当に突然のことだった」と、救出された別の登山者、チェン・ゲシュアンさんはロイター通信に語った。「山の中はとても雨が多くて寒かったので、低体温症になる危険性があった」

中国のSNSには、暴風雪の中で登山者たちが埋もれたテントの雪をかき分ける映像が投稿された。

「恐ろしい夜」を過ごした後、フェンさんたちは自力で下山を始め、テントや装備を捨てて軽装で山を下りた。午後6時30分ごろ、ふもとに到着すると、地元の職員や住民が出迎えてくれたという。

エベレストでの過酷な体験を振り返り、フェンさんはこう語った。「私たちは自然を尊重しなければならない」

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