自分量産SFサバイバル『The Alters』ぐんぐん人気上昇、Steam同接1万8000人超え。“全員自分”なのにクセ者だらけ、トラブル多発過酷共同生活
デベロッパーの11 bit studiosは6月13日、SFサバイバルアドベンチャーゲーム『The Alters』をリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/PS5/Xbox Series X|S。PC/Xbox Game Pass向けにも配信中。ゲーム内は日本語表示に対応している。本作はリリースからさっそく大きな人気を博しているようだ。
『The Alters』は探索・クラフトと基地運営が融合したサバイバルアドベンチャーゲームである。プレイヤーは宇宙船事故のただ一人の生存者ヤン・ドルスキとなり、過酷な環境の惑星でのサバイバルに挑むことになる。生き延びるには、どうにかして移動式の基地を目的地まで動かす必要がある。しかし生存者はヤン一人、資源も人員もまったく足りない状況だ。そこでヤンは、奇跡の物質「ラピディウム」を用いて、量子コンピューターで計算した別の人生を歩んだ自分「オルター(The Alters)」を生み出し、苦難に立ち向かうのだ。
なぜ基地を動かす必要があるのか。それはヤンが降り立った惑星に降り注ぐ、太陽からの強烈な放射線のためである。放射線量が高まるタイミングでは、どれほど装備やフィルターを強化したところで防ぐことができないのだ。また、最終目標である惑星からの脱出を果たすには、さまざまな資源を探し集める必要もある。基地は車輪のような形をしていて、基地まるごとの移動が可能。移動することで、生存と探索をおこなうというわけだ。
もちろん基地の移動そのものにも資源は必要だ。放射線が強まる前に動かせるようにしなければ、待ち受けるのは死のみである。しかし資源集め、基地の装置の充実化、食糧の確保など、時間がないのに問題は山積みだ。そこでヤンは、自分とは違う選択をして別の人生を歩んだ「オルター」を生み出すことになる。オルターたちは「もしあの時、違った選択をしていたら」という空想を量子コンピューターで計算し、それをラピディウムを使って具現化した存在である。それぞれに専門領域が異なるほか、人間性も違ったものとなっている。
たとえばエンジニア(技師)のヤンは「もしも父に反抗して大学に進学しなかったら」という可能性の一つである。自立心が強く、手先が器用で、基地のメンテナンスなどで頼りになる存在だ。サイエンティスト(科学者)のヤンは研究の道を突き進み、生存に必要な研究をできる知識を持つ一方で、何事も論理的に考えるため遠慮のない性格をしている。そうしてくせ者揃いのオルターが増えれば人間関係トラブルなども発生する。そんな時、仕事よりも結婚生活を選んだ共感能力の高いボタニスト(植物学者)のヤンは、良い仲裁役となるかもしれない。もちろん食糧問題の解決にも重要な存在だ。人生の歩み方次第で多種多様な違いを見せるヤンたちとの生活が描かれるところも、本作の特徴となっている。
そんな本作はリリースからさっそく人気を集めている。本稿執筆時点で寄せられているSteamユーザーレビューはすでに約1700件にも及び、そのうち89%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。また、PS Storeでの評価も約900件、星5つ評価の平均が4.72と極めて高評価だ。Steamの同時接続プレイヤー数は、リリース初日のピーク時で約8000人だったところ、日を追うごとに増加しており、これまでの最大で約1万8000人もの同時接続プレイヤー数を記録している(SteamDB)。PC/Xbox Game Pass向けにも提供されており、Steam以外のプラットフォームも含めればさらに多くのプレイヤーが集っていることだろう。
本作を手がけた11 bit studiosは、極寒の世界で都市を建設・運営する『フロストパンク』シリーズや、戦時下の都市でのサバイバルゲーム『This War of Mine』の開発元として知られる、ポーランドに拠点を置くデベロッパーだ。なお同スタジオには元スクウェア・エニックスのゲームクリエイター斎藤成紀氏がシニアクエストデザイナーとして在籍(弊誌関連コラム)。本作の開発に携わっている。
同スタジオの過去作では、過酷な状況で生存のため奮闘し、時には価値観を問われるような選択を迫られるという作風も持ち味。本作でもそうした作風は共通しつつ「自分自身を量産する」という倫理観ジレンマを突きつける新たな側面も加わっている。ゲームプレイにおいては常に時間に追われる状況であるため世界をくまなく探索して回ることは難しく、サバイバル要素はややシンプル。一方で、オルターたちはタスクを終えた後に次の提案をしてくれるなど「生きている感じ」があり、オルターを通じて自分自身を見つめ直すような体験を得られるところも特徴。そんなオルターたちとの関係に応じてエンディングが分岐するなど、没入感や物語性が高い作品だ。オルターを軸としたゲームシステムとストーリーテリングの両面が評価され、先述の高い評価につながっているものと思われる。Steamでは連日同時接続プレイヤー数を伸ばしており、今後の盛り上がりも注目される。
『The Alters』はPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/PS5/Xbox Series X|S向けに配信中。PC/Xbox Game Pass向けにも配信されている。Steamでは現在リリース記念セールを開催中で、6月28日までの期間限定で定価の10%オフとなる税込3564円で購入可能。その他、価格や割引率はプラットフォームごとに異なるため、詳細は各ストアページを参照されたい。なお2026年1月~3月にはDLCも配信予定だ。