土星の衛星「ヘレネ」の無加工画像 驚きの滑らかさ【今日の宇宙画像】
【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)
(引用元:NASA)
いびつな形状をしたこちらの天体は、土星の第12衛星「ヘレネ(Helene)」です。
この画像は、色調補正やコントラスト強調を一切施していない未処理(無加工)画像です。
- Image Credit: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute
- NASA - Helene, Close up
ヘレネはディオネと同じ軌道を共有し、ラグランジュ点 L4を回ることから「トロヤ衛星」に分類されます。表面は、ミマスなどクレーターが密集する氷衛星や、エンケラドゥスの古い地形と比べてもきわめて滑らかです。筋状に流れたような滑らかな地形が広がり、まるで雪山の斜面を見下ろしているかのようです。
この滑らかな地形は、小天体との衝突頻度が極めて低いだけでなく、表層の氷がゆっくりと崩れてクレーターを埋める現象によるものだと考えられています。
同じ様に、いびつな形状をしたハイペリオンとは表面の粗さもまったく異なる点が興味深いところです。
【▲ 土星の衛星「ハイペリオン(Hyperion)」(Credit: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)】冒頭の画像は、NASAの土星探査機「カッシーニ」が2011年6月18日にヘレネへ最接近した際、撮像システム ISS(Imaging Science Subsystem)の可視光カメラで取得されました。
土星探査機カッシーニとは
カッシーニは土星とその環や衛星を詳しく観測するために開発されたNASAの探査機です。全長は6.8mで、地球から遠く離れた土星を探査することから直径4mの高利得アンテナを備え、電源には放射性同位体熱電気転換器を採用。科学機器としてカメラ、分光計、宇宙塵分析器、磁力計、レーダーなどが搭載されていました。これらの機器類に加えてカッシーニには、土星の衛星タイタンに着陸するESAの着陸機「ホイヘンス(Huygens)」も搭載されていました。
編集/sorae編集部