東欧ルーマニア、領空でロシア製ドローン検知と発表 NATO加盟国で2例目
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ルーマニア政府は14日、ロシア製のドローンが同国領空に侵入したと発表した。北大西洋条約機構(NATO)加盟国によるロシア製ドローンの領空侵犯の報告は、これで2例目となる。
ルーマニア国防省の声明によると、ルーマニア空軍の戦闘機が、ウクライナ南部国境付近で発生したロシアの攻撃を監視するため、13日に上空で警戒活動を行っていた際に、ドローンの動きを追跡したという。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この侵入が誤りによるもののはずがなく、「ロシアが明白に戦争を拡大した」のだと述べた。一方のロシアは、ルーマニア側の主張について現時点でコメントしていない。
ポーランド政府は10日、領空に侵入した少なくとも3機のロシア製ドローンを撃墜したと発表している。
ルーマニア国防省は声明で、ロシアによる「ドナウ川沿いのウクライナのインフラへの空爆」の後、ウクライナとルーマニアの国境添いを監視していたF16戦闘機2機が、ロシア製ドローンを探知したと明らかにした。
ドローンは、キリア・ヴェケ村の南西約20キロメートル地点で探知された後、レーダーから消失したという。
ただし同省は、ドローンが人口密集地域の上空を飛行しておらず、差し迫った危険をもたらすものではなかったと説明している。
欧州連合(EU)のカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表は、「EU加盟国の主権に対する、またしても容認できない侵害だ」と非難した。
ポーランドも14日、ロシア製ドローンに対する懸念に対応した。
ポーランドのドナルド・トゥスク首相は、ソーシャルメディア「X」への投稿で、「ポーランドおよび同盟国の航空部隊による予防的な作戦が、我々の領空で開始された」と述べた。
また、「地上配備型の防空システムは、最高レベルの警戒態勢に達している」と付け加えた。
チェコは、特殊作戦用のヘリコプター部隊をポーランドに派遣したと発表した。
この部隊は、3機のMi-171Sヘリコプターで構成されており、それぞれ最大24人の人員を輸送可能で、完全な戦闘装備を備えている。
チェコのヤナ・チェルノホヴァ国防相は、今回の派遣はロシアによるNATO東側への侵入に対応する措置だと述べた。
ロシア国防省は先に、ポーランド領内の施設を標的とする「計画はなかった」と発表している。
また、ロシアと同盟関係にあるベラルーシは、10日にポーランド領空に侵入したドローンについて、航法システムが妨害されたことによる「事故」だったと説明した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍は「自らのドローンがどこに向かっているか、そして空中でどれほどの時間運用可能かを正確に把握している」と述べた。
ゼレンスキー氏は、ロシアによる全面侵攻開始以降、西側諸国に対し、一貫してロシアへの制裁強化を求めてきた。
アメリカのドナルド・トランプ大統領も領空侵犯に関する問題に言及し、ロシアに対してより厳しい制裁を科す「用意がある」と述べた。ただしその実施には、NATO加盟国が一定の条件を満たすことが前提だとして、ロシア産の石油購入を停止することなどを挙げた。
ロシアは2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以来、戦場でじわじわと前進している。
トランプ氏は戦争終結に向けた取り組みを主導しているが、ロシアは先月、ウラジーミル・プーチン大統領が米アラスカ州でトランプ氏との首脳会談を終えて帰国して以降、ウクライナへの攻撃を激化させている。