アイルランド大統領選、左派のコノリー氏が勝利 国境めぐる投票にも意欲
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オーリン・コックス記者(BBCニュース北アイルランド)
アイルランドで24日投票、25日開票された大統領選で、独立系左派のキャサリン・コノリー下院議員(68)が、圧倒的な票差で勝利した。主な対立候補で統一アイルランド党(フィナ・ゲール)の副党首を務めたヘザー・ハンフリーズ氏は、敗北を認めた。
無所属でありながら主要な左派政党の支持を受けていたコノリー氏は、勝利演説の中で「すべての人にとって包摂的な大統領になる」と誓った。
アイルランド西部ゴールウェイ出身のコノリー氏は、2016年から下院議員を務めている。マイケル・D・ヒギンズ大統領の後任として、同国の第10代大統領に就任する予定だ。ヒギンズ氏は、憲法上の制限により、2期を務めた後に退任する。
コノリー氏は、第1候補票で91万4143票(得票率63%)を獲得した。これは、同国の大統領選挙史上最多だという。
コノリー氏の勝利演説はアイルランド語で始まり、その後、英語で行われた。
「私は、耳を傾け、熟考し、必要なときに発言する大統領になる」とコノリー氏は述べた。
「私は、平和の声となり、中立政策を基盤とする声となり、気候変動がもたらす存続の脅威を明確にする声となり、そして全国各地で行われている素晴らしい活動を認識する声となる」
BBCのガビヤ・ガタヴェツカイテ・ダブリン特派員は、コノリー氏は「体制に対抗する候補者」であり、政府が推したハンフリーズ氏に挑んだ人物だと説明。
また、コノリー氏はここ数週間、自身の選挙活動を「ムーブメント(運動)」だと強調しており、今回の選挙で国民から明確な信任を得たと報じた。
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無効票を除いた場合、ハンフリーズ氏は第1候補票の29%を獲得した。ハンフリーズ氏が勝利した選挙区は、同氏が2011年から2024年まで代表していたキャヴァン=モナハンのみだった。
選挙からの撤退を表明していた共和党(フィアナ・フォイル)ジム・ギャヴィン氏は、投票用紙に名前が残っていたため、第1候補票の7%を得た。
一方、無効票は21万3738票と、こちらも記録的な数だった。投票率は46%だった。
コノリー氏の演説後に発言したハンフリーズ氏は、自分に投票したすべての人々、選挙運動チーム、そして指名元のフィナ・ゲール党に感謝の意を示した。
「キャサリンは、私たち全員のための大統領になると確信している。キャサリンは私の大統領でもあり、彼女の成功を心から願っている。今夜は彼女のための夜だ」と、ハンフリーズ氏は述べた。
アイルランドでは、大統領が国家元首。大統領は国外で国を代表し、主要な国家行事で中心的な役割を果たし、政府と政治の基本となる憲法が順守されることを保証する責任を負う。
大統領の権限は限定的だが、職務に伴う影響力は大きいとされている。
コノリー氏の就任式は11月11日に予定されている。ヒギンズ大統領はその前日の10日に退任する。
ヒギンズ氏はコノリー氏に電話をかけ、「彼女とその家族にとって記念すべき日」を祝福したと述べた。
「次期大統領は、来月の就任式に向けて準備を進めるにあたり、この大統領府の全面的な支援を受けることになる」と、ヒギンズ氏は付け加えた。
アイルランドのミホル・マーティン首相は、コノリー氏に「卓越した栄誉」が授けられたと述べた。
「国民は力強く意思を示し、キャサリンに圧倒的多数と非常に明確な信任を与えた」
サイモン・ハリス副首相は、「この国の素晴らしい点は、私たちが揺るぎない民主主義の中で生きているということだ」、「選挙が行われ、私たちは全力で戦い、そしてその後、誇りを持って選挙の勝者のもとに団結する」と述べた。
ハリス氏は以前に、無効票の多さについて言及。「投票用紙を無効にするためにかなりの労力をかけている人々を見た」と述べていた。
最大野党で、アイルランド統一を目指すシン・フェイン党は、独自候補を擁立しない決定を下した後、コノリー氏への支持を表明した。
同党のメアリー・ルー・マクドナルド党首は、この結果を「驚くべき勝利」だと述べ、コノリー氏にはこの大統領選で同党の支援が必要だったと語った。
マクドナルド氏はまた、「これは、フィアナ・フォイルとフィナ・ゲールの疲弊しきった政治に対する、野党勢力の連携による勝利だ」と述べた。
「最大の政党であるシン・フェイン党は、当然ながら選挙活動で重要な要素だった」
「そしてキャサリンは、自分が独立候補であり、非常に独立した考え方の女性だと正しく主張してきた」
コノリー氏は、統一されたアイルランドの候補者という立場を確立しようとし、7年間の大統領任期中に、アイルランド島における国境投票の実施を望んでいると述べている。
イギリス・北アイルランドのミシェル・オニール首席大臣(シン・フェイン党所属)は、この勝利を「希望の時代の幕開け」だと述べた。
「この選挙は、変革と進歩に取り組む政党が共通の目的のもとで協力することで、何が達成できるかを示した」
「それこそが、より良く、統一された未来への明確な道筋だ」