テスラ、保証修理を逃れるために「総走行距離を水増し」?

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満充電で走れる航続距離水増し疑惑に続き、今度は総走行距離がやり玉に。

「テスラ車の総走行距離表示が実際の走行距離より15~117%多く表示され、修理保証期間が短縮された」とロサンゼルスのテスラ車オーナーが同社を相手どって集団訴訟を起こしました。

走行距離が急に跳ね上がる

原告のNyree Hintonさん(データアナリスト)は2022年12月、2020年式テスラ モデルYを通算走行3万7000マイル(5万9546km)弱の中古で購入。修理保証期間は「走行5万マイルか4年間かのいずれか早いほう」だったので、半年くらいで5万マイル(8万0467km)オーバーとなって、サスペンションの修理代1万ドル(約143万円)はカバーされませんでした。ですが、「走行距離表示がおかしいせいで保証が早く切れて修理適用対象外になったのではないか」との疑念が払えずにいるようです。

たとえば、1日 20マイル(約32km)しか走ってないはずなのに72マイル(約114km)と表示されることもあっで、2022年12月14日から2023年2月6日までは1日平均55.54マイル(約90km)と表示されていたのに、修理保証期間満期に近づくと急に数値が跳ね上がって、2023年3月26日から2023年6月28日までは1日平均72.53マイル(約117km)と表示されていたらしいのです。その差、1日20マイル(約32km)弱。

前に乗っていた車3種は半年で平均6,086マイル(約9795km)だったのに、テスラ モデルYに乗り換えた途端、半年で13,228マイル(約21万3228km)に走行距離が跳ね上がった計算です。その差、2倍超。いつもの道をいつも通りに走っていただけなのに。

おかしな挙動はその後も続き、2024年には通勤ルートが変わって前より遠距離になったのに、モデルYの走行距離表示は月800マイル(約1,288km)くらいも減ってしまったのだといいます。まるで、保証期間が過ぎたら急に距離稼ぎのモチベーションが失せてしまったかのよう。

電力消費の予測アルゴリズムが問題…?

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原告側は、予測アルゴリズムや電力消費、運転状況などをもとに走行距離を表示する「マイルから電気エネルギーへの変換係数特許なるもの」をテスラが持ってることに着目し、実際の走行距離ではなく、そういうアルゴリズム予測の走行距離だからこんなに開きが出るのではないか、と見ています。特許が実際使われていたという証拠はないのですけどね。

走行距離はリースや保証の期間にも影響する重要なデータです。

不正確な走行距離表示のせいで、本来保証でカバーできるはずの修理代が自腹になったり、保証期間内のうちに保証更新費用を負担しなきゃならなくなっている。

というのが訴状の趣旨です。

走行距離の表示がおかしいという声は前からあって、テスラフォーラムにも「Googleマップでは197kmと表示されるのに304kmと表示される」(モデル3オーナー)という書き込みがあるのですが、裁判のことがニュースになってからは「やってみたけど違いは確認できなかった」との報告もあがっています。

そんなに違えば全員気づくんじゃ…と思ってしまいますけど、個体差なのかな。大規模な不正だとすればフォルクスワーゲンのディーゼルゲート並みの話ですので動向が気になりますね。

Sources: Carscoops, Arstechnica, electrek

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