米中貿易協議、「著しい進展」と両国代表が自賛-具体性は欠く
米国と中国は貿易戦争の緊張緩和を目指してスイスで開かれた2日間の協議を終え、「著しい進展」があったと発表した。中国の何立峰副首相は今回の協議を、両国の相違解消に向けた「重要な第一歩」と位置付けた。
両国とも具体的な点をまだ明らかにしていないが、何立峰副首相は今後の協議に向けた枠組みを設けることで両国が一致したと述べた。ベッセント米財務長官は詳細をスイス時間12日に明らかにすると述べた一方、何立峰副首相は共同声明の発表を約束した。
中国商務省の李成鋼次官はジュネーブで記者団に「中国には『料理がおいしければ出される時間は問題ではない』という表現がある」と語った。「発表のタイミングがいつであれ、世界にとって朗報になるだろう」と述べた。
米当局者によれば、ベッセント長官とグリア米通商代表部(USTR)代表は現地時間12日午前9時(日本時間同日午後4時)から記者会見を行う。
何立峰副首相は米国側のプロ意識を称賛し、グリアUSTR代表は米中の貿易衝突は誇張されているかもしれないと述べた。
「われわれがいかに早く合意に達せたかを理解することが重要だ。見解の相違は考えられていたほど大きくなかったのかもしれない」とグリア氏。「とはいえ、この2日間に向けて入念な準備作業が行われた」と続けた。
週明けのアジア市場では、中国株は小幅上昇し、人民元も強含んだ。中国本土株の指標CSI300指数は一時1.2%高となり、4月2日にトランプ米大統領が「解放の日」と称して関税措置を発表して以来の下落幅をほぼ回復した。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのグローバル市場戦略責任者ウィン・シン氏は 「わずか2日間の協議で実質的な合意が得られる可能性については依然として懐疑的だが、両国が緊張緩和を目指しているのは明らかだ」とリポートで指摘した。
世界の二大経済大国である米中間では、トランプ大統領が中国に対する関税を145%まで段階的に引き上げたことで緊張が高まっていた。これらの関税措置は中国による違法薬物フェンタニル取引への関与や、大規模な対米貿易黒字、そして中国側の報復措置に対応するものとされている。これに対し中国も米国からの輸入品に対する関税を125%に引き上げて報復していた。
関税の応酬で両国は互いに譲歩せず、打開策の見えない膠着(こうちゃく)状態に陥っていた。
最終的に両国は緊張と関税を緩和する必要性を認め、公式な協議を行うことになった。米小売企業の幹部らはトランプ政権高官と会談し、関税が高止まりすればコロナ禍当時に匹敵する品不足やサプライチェーンの混乱を招くと訴えたことが、会談の緊急性を高めたとみられる。
中国の習近平国家主席はこの協議を前に、自国経済の強化を図ろうとしたが、貿易データには弱含みの兆候も見られた。
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原題:US and China Tout Progress in Trade Talks, Offer Few Details (2)、 US, China Cite ‘Substantial Progress’ in Geneva Trade Talks (3)(抜粋)