ソニー半導体部門が「NVIDIAのGPU」を売る納得の理由。背景にある「日本の壁」とは(BUSINESS INSIDER JAPAN)

今回GPUサーバーを売るミドクラジャパンは、前述のように、SSSの子会社だ。ミドクラジャパンがSupermicroの日本代理店となり、Supermicro製のGPUサーバーを販売する。 リリース内ではNVIDIAのHGX B200を8基搭載したサーバーが紹介されているが、H100やH200を搭載したものも販売するし、さらに規模の大きな、GPUを72枚搭載した「NVL72」の取り扱いもある。 なぜミドクラジャパン、ひいてはSSSがGPUサーバーを売ることになったのか? ソニーセミコンダクタソリューションズ システムソリューション事業部事業部長の柳沢英太氏は「GPUサーバー自体の納入・セットアップが難しいため」だと説明する。 GPU不足は一時期に比べると落ち着いたと言われるが、それでも調達は難しい。1カ月から数カ月は考えた方がいい、と言われる。 今回の取り組みでは、扱いのあるGPUサーバーなら2週間で納入される。 さらに重要なのは、GPUを複数つないだ「クラスタ化」をしつつ、その上で画像認識の生成AIモデルを組み込んで「使える」形で提供される、という点だ。 GPUサーバーを買うのは簡単だが、それをセットアップするのは難しい。GPUクラスタ化の知識と仮想化技術、生成AIの知識など、複数の領域にまたがる知識が必要だからだ。 そのレベルのエンジニアは日本国内で不足しており、GPU購入から稼働までに数カ月かかった、という例も筆者は耳にしている。 今回扱われる製品は、そうしたセットアップのサポートもセットで提供されるため、ノウハウが少ない企業でもすばやく導入できる。 品不足とノウハウ不足、両方に対応するのがSSSの狙いだ。 小規模なGPUサーバーを企業や工場に提供することに加え、クラウドサービスの事業者に大規模なGPUクラスターとして提供する準備もあるという。

だが、話をよく聞いてみるとおもしろいことがわかってきた。 「そもそも、GPUサーバーのビジネスが目的ではなかった」(柳沢氏)というのだ。

西田宗千佳[ITジャーナリスト]

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