中国製造業活動、23年12月以来の低水準-貿易戦争の影響浮き彫り

中国の製造業活動が4月に縮小し、2023年12月以来の低水準にとどまった。トランプ米政権の対中追加関税による影響が早くも浮き彫りとなっており、迅速な政策強化を求める声が広がっている。

  国家統計局が30日発表した4月の製造業購買担当者指数(PMI)は49。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は49.7、3月は50.5だった。活動拡大・縮小の境目は50。

  建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは50.4。エコノミスト予想は50.6、3月が50.8だった。

  トランプ政権が中国からの輸入品に145%の高関税を課した後、今回のPMIは中国経済の動向を示す初の公式データとなる。対中追加関税は昨年の経済成長の3分の1近くに寄与した輸出に大きな逆風となりそうだ。

  モルガン・スタンレーの中国担当チーフエコノミスト、邢自強氏はブルームバーグテレビジョンで、「予想以上に悪い結果だ。関税による影響が出始めたことを示している」と分析。今四半期の大幅な景気減速を見込んでおり、それが新たな刺激策の引き金となる可能性があると指摘した。

モルガン・スタンレーの中国担当チーフエコノミスト、邢自強氏がブルームバーグテレビジョンで語る

  貿易戦争を受け、UBSグループやゴールドマン・サックス・グループなどはここ数週間で、中国の25年の国内総生産(GDP)成長率見通しを約4%、あるいはそれ以下に引き下げた。貨物輸送は落ち込んでいる。最大60%減る可能性があるとの推計もあり、中国の輸出企業にとっては警戒信号だ。

  製造業PMIの新規輸出受注は22年12月以来の低水準にとどまり、低下幅も同年4月以来の大きさとなった。22年4月は上海市が新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)に入っていた時期だ。また、雇用指数は昨年2月以来の低水準で、当局には労働市場の安定化に向けた圧力が増している。

  輸出業者への圧迫を和らげるため、中国政府は今週、苦境にある企業の資金繰り支援や国内消費の底上げに向けた計画を打ち出した。ただ、大規模な経済刺激策の発表は見送っており、3月上旬に承認された景気対策の執行に軸足を置いている。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のシニアストラテジスト、邢兆鵬氏は中国当局が今後2カ月で、関税による影響を部分的に相殺するため、的を絞った対策を講じると見込んでいるが、貿易対立の長期化を見据えて政策的な余地も残すとの見方を示した。

  国家統計局の趙慶河氏はPMI低下の要因として、前月からのベース効果や「外部環境の急激な変化」を挙げた。貿易戦争に勝者はいないとの政府の立場を改めて強調し、米国や英国、日本など主要国でも製造業活動の減速がみられると発表文で指摘した。

  一方、民間指標の財新製造業PMIは4月に50.4と、エコノミスト予想の49.7を上回った。前月から伸びたことを示しているが、拡大ペースは鈍化した。財新PMIはより小規模で輸出型の企業の動向を反映する傾向にある。

  財新智庫の王喆シニアエコノミストは「米国の関税引き上げが外需に打撃となり、新規輸出受注は23年7月以来最も速いペースで減少し、4月の新規受注全体の増加もごくわずかだった」とコメントした。

原題:China Manufacturing Slumps on US Levies, Spurring Stimulus Calls(抜粋)

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