GPIF、24年度運用収益1.7兆円 5年連続増も年明け以降はマイナス

 7月4日 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が4日発表した年度概況書によると、外国株式市場の好調を背景に、2024年度の運用収益は1兆7334億円だった。写真はGPIFの看板。2018年11月、都内で撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 4日 ロイター] - 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が4日発表した2024年度の運用収益は、1兆7334億円だった。過去最高の45兆円超となった23年度から大幅に縮小したが、外国株式の運用益に支えられ5年連続のプラス運用を確保した。ただ、1─3月期はマイナス収益となっており、運用成績は徐々に悪化している。

24年度の収益率はプラス0.71%。金利上昇の影響で国内債券はマイナス4.47%と振るわず、全体の運用成績にマイナス要因となった。一方、外国株式は、市場が急落する場面はあったものの全体としては比較的堅調だったため、6.62%で全体の収益を下支えした。自主運用を始めた01年度からの累積収益額は155兆5311億円だった。

保有比率は3月末時点で国内債券が27.64%、外国債券24.37%、国内株式23.94%、外国株式24.05%となり、いずれもGPIFが定める指針の範囲内に収まった。名目運用利回りから名目賃金上昇率を引いた実質的な運用利回りはマイナス1.50%だった。

1―3月期の運用損益は8兆8152億円のマイナスで、収益率はマイナス3.41%だった。国内外株式と債券いずれも収益率が悪化している。年度末にはトランプ米政権の関連政策を受けて外株市場も大幅な調整局面に入り、かろうじて年間のプラスを確保したことになる。

厚生労働省はGPIFによる運用利回り目標を、第5期(25─29年度)はそれまでの水準から0.2ポイント引き上げて1.9%としている もっと見る 。GPIFは運用目標を満たしつつリスクを最小限にとどめ、国内外の株と債券に25%ずつ配分する現在の基本ポートフォリオ(資産構成割合)を維持している。

内田和人理事長(4月に就任)はこの日の会見で「短期的な市場の変動にじたばたせず、状況分析をしっかりしながら、基本ポートフォリオを維持して運用していくことが中長期的にパフォーマンスを上げるのに重要」との考えを示した。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

関連記事: