“順足”左サイドにも適応! 青森山田高→桐蔭横浜大MF杉本英誉が圧巻の縦突破クロスで初代表入りアピール「いい感じにちぎれた」
2年前に全国高校サッカー選手権を制し、関東大学リーグでもルーキーイヤーから出場機会を掴んだウインガーだが、ここまで世代別日本代表の招集歴はなし。桐蔭横浜大MF杉本英誉(2年=青森山田高)が22日、関東大学選抜の一員としてJリーグ選抜とのポストユースマッチに出場し、U-20ワールドカップへの熱烈なアピールを見せた。
後半開始から左サイドハーフで投入された杉本は後半37分、圧倒的な突破力で見せ場を作った。スピードを活かした縦突破を試み、相手を振り切ったまま左足クロスを送り込むと、ファーサイドでMF原壮志(⽴正⼤2年=帝京長岡高)が反応。ボレーシュートがGKピサノアレックス幸冬堀尾(名古屋)に阻まれたため、アシストはつかなかったが、両チーム通じてこの試合で最大の決定機を演出した。
左利きの杉本は高校時代から右サイドハーフを本職としており、左サイドはぶっつけ本番。それでも「左というのもあって右で持てないぶん相手とのタイミングも測りづらく、極端に縦に縦にとなってしまったけど、ボールを持ったほうが速いとは言われるのでいい感じにちぎれたと思う」と手応えの残るワンシーンだった。 杉本によると、左サイド起用が実現したのは大学選抜に帯同していたチームメートの岩本青アナリスト(2年=上越高)の進言だったという。「今回は右サイドの選手が多い中、岩本くんが『左キャラならヒデかな』というのを言ってくれたみたいで」。近年の欧州サッカー界ではバルセロナのFWラフィーニャ、ナポリのFWダビド・ネレスといった左利きの“順足”左ウイングが復権中。杉本自身も「家族にも『いろんなポジションができて損はないよ』と言われたし、自分も左でもできないことはないと思っていた」と前向きに取り組んでいた。
もちろん、本職の右サイドのほうが得意ではあるものの、こうした機会を経てプレーの幅を広げていく構え。「左をやると縦しかないのは自分でもあるので不安要素で、入りの部分でもロストしてカウンターを受けることもあったけど、途中から背後を取ったり、味方とのコンビネーションで突破できるようになった」という手応えも活かし、「右足でのドリブルもできるようになりたいし、左でもいろんなことができるように練習していきたい」と意気込んだ。 またこの日は高校からプロ入りした同世代とのマッチアップを通じて、自身の前向きな現在地を確認できる機会ともなった。 「みんなとも話していて強度、スピード、予測はやっぱり速いなと感じたけど、技術面はみんな負けていないし、こっちが上だなという選手もいたので、大きな差はないと思う。高卒プロが一つの目標ではあったけど、桐蔭横浜大を選んでよかったなと思っているし、ここから今日戦った相手を越せるように頑張りたい」 フィジカル面でもウエイトトレーニングを積極的に行っていた青森山田高時代よりも上半身が一回り大きくなったような印象があり、杉本自身も「監督からも大きくなったなと言われました」と手応え。同世代との情報交換を通じて「筋力はつけるだけじゃなく使えるようにしないといけないという話も聞いたので、そういったトレーニングも取り入れていきたい」と貴重な場になったようだ。そうして目指すは今年9〜10月に控えるU-20W杯だ。対戦相手のJリーグ選抜はU-20日本代表の羽田憲司コーチが監督を務めており、杉本の姿も目に入ったはず。「自分はまだ代表に入ったことがないけど、入りたいというのは思っているし、U-20W杯も、ロサンゼルス五輪も自分の世代なので、そこに入っていくためにはまず自チームで試合に出続けて、結果を残し続けて、見てもらうのが大事だと思う」。まずは関東大学リーグを通じて同世代ウインガーとの競争を勝ち抜くべく、「良い選手がたくさんいるので、自分が一番になれるように頑張っていきたい」と力強く語った。
(取材・文 竹内達也)●第99回関東大学リーグ特集