海水温の上昇が「潜水艦戦に大きな打撃」と科学者が警鐘。でも「気候変動のたわごと」と米ヘグセス国防長官(海外)(BUSINESS INSIDER JAPAN)
潜水艦は、沿岸防衛から通常兵器および核兵器による攻撃オプションに至るまで、さまざまな任務において戦略的に重要な存在だ。特に敵対勢力の近くを航行する際には、重要な海域を静かに動く必要がある。同様に重要なのが、海中における艦艇の音響プロファイルを識別して、敵あるいは対立勢力の潜水艦を探知する能力だ。 潜水艦はしばしば、海上哨戒・偵察機といった航空機、水上艦艇、ほかの潜水艦による受動・能動ソナーによって位置を特定され、追跡される。流体力学的効率を著しく高める設計を持つステルス性の高い艦艇は発見や継続的な追跡がされにくいが、環境もまた探知されにくくする上で重要な役割を果たしている。 2025年3月、研究者のアンドレア・ジリ(Andrea Gilli)氏とマウロ・ジリ(Mauro Gilli)氏が、気候変動が潜水艦戦に及ぼす影響に関するNATO防衛大学(NATO Defense College、NDC)の論文を発表した。前者は上級講師でNDCの上級非常勤准研究員、後者はチューリッヒ工科大学(ETH Zürich)の軍事技術と国際安全保障の上級研究員を務めている。 彼らの研究は、1970〜1999年の水温と塩分濃度の過去の値を比較し、2070〜2099年の将来値をシミュレートした。彼らは「ほとんどの海域で、潜水艦を探知できる範囲が縮小している」と結論づけた。 それは特に北大西洋で顕著となっており、西太平洋では程度は低いものの同様の傾向があるという。それらの海域はいずれも、ロシア、中国、北朝鮮といった敵対勢力に対する抑止と防衛にとって極めて重要な関連性を有すると特定されている。これらの海域の中には、ほかの海域より急速に温暖化しているところもある。
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