EU、米関税期限前の合意ほぼ不可能に 現状維持を目指す=関係筋
[ブリュッセル 4日 ロイター] - 欧州連合(EU)は、トランプ米政権との貿易交渉で目立った進展が得られず、関税の引き上げを回避するために現状維持の延長を模索している。交渉に詳しいEU外交官6人が明らかにした。
EUは当初、「相互関税」上乗せ分の一時停止の期限となる7月9日までの包括的合意を目指していたが、ワシントンでの協議後、より基本的な合意すら不透明な状況となっている。
EUの執行機関である欧州委員会は4日午後、加盟国の代表に対し、米国が一部のパートナー国に対しては現行関税を「一時停止」し、将来的な関税緩和の可能性を示唆していると説明した。
しかし予備的な合意がなければ、米国は4月2日にトランプ大統領が設定した通り、EUからの輸入品に対する関税を現在の10%から20%に引き上げる可能性がある。農産品に対しては17%の関税案も浮上していたという。
2人のEU外交官は、欧州委が現状維持の延長を優先し、その後の交渉継続を目指しているようだと述べた。米国のベセント財務長官も、交渉は週末にかけて継続されると発言している。
欧州委の報道官は「今週行われた直近の交渉では、原則的な合意に向けて進展があった」と述べ、「加盟国と現状を協議した上で、週末に米国と再び実質的な交渉に臨む」とした。
現在、EUは鉄鋼・アルミニウム製品に対して50%、自動車・部品に25%、その他多くの製品に10%の関税を課されている。
これに対抗し、EUは既に210億ユーロ規模の報復措置を準備しているが、まだ発動には至っていない。さらに、当初950億ユーロと見積もられていた第2弾の報復措置案は、加盟国のロビー活動を受けて720億ユーロに縮小された。
EU交渉団は、米国が10%の関税を下回る水準に引き下げることは困難と認識しつつも、航空機や部品、自動車、金属などの主要分野での関税の即時緩和を求めていた。
交渉後の状況について、ある外交官は「依然として流動的で予測が難しい」と述べ、別の外交官は「見通しは暗い」と語った。
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