「やりたいことは後回しにしない」アップルウォッチで心房細動を発見した51歳男性の人生観が激変した理由(g.O.R.i)

Apple Watchで心房細動という不整脈を発見した51歳のエンジニア・鈴木政博さん。手術を受けた後、体調に変化はありませんでしたが、人生に対する考え方が大きく変わったといいます。

杏林大学医学部循環器内科学教室診療科長の副島京子先生とともに、Apple Watchが健康管理にもたらす可能性について話を聞きました。

通知を受けても慌てなかった理由

鈴木さんがApple Watchから心房細動のお知らせを受けたのは、自転車に乗っている途中でした。しかし、多くの人が想像するような慌てやパニックはありませんでした。お知らせを受けた2分後には、冷静に心臓の記録の写真を撮るほど落ち着いていたそうです。

「心房細動は命にすぐ関わるものではないと知っていたことと、性格的なものもあったと思います」と鈴木さんは振り返ります。その後3回記録を取り、翌朝病院に向かいました

副島医師は、この対応について「とても良い対応でした」と話しています。お知らせを受けたからといって、すぐに救急車を呼ぶ必要はないそうです。1日程度様子を見て、異常があるようなら病院に行くという形で良いとのことです。

手術後に生まれた新しい考え方

手術後の体の変化について、鈴木さんは「入院前と後で体調は何も変わっていません」と話しています。手術後1週間で自転車にも乗れるようになったそうです。

しかし、心の変化は大きかったといいます。手術直後は慎重だった行動も、近所での食事から始めて少しずつ自転車の距離を伸ばしたり、座席のある大きなコンサートから始めてライブハウスに行くようになったりと、段々と活動範囲を元に戻していきました。

現在では、手術前と変わらないか、むしろもっと活発になっているそうです。この変化の背景には、もし病気に気づかなければ脳梗塞で命を落としたり、体が不自由になって好きな活動ができなくなったりする可能性があったことを実感し、「後回しにしないでやりたいことはやろう」という気持ちが強く生まれたことがあります。

治療後の健康への意識の変化

副島医師によると、他の患者さんを見ていても、治療後は病気が再び出ないように生活のくせを変える人が多いそうです。寝ている時の呼吸が止まる病気の検査に行ったり、体重を減らしたり運動量を増やしたりするなど、自分の健康への意識が高まり、頑張る人が多いといいます。

また、カテーテル治療後何年経っても、Apple Watchをつけ続けて行動をチェックしている人が多く、「つけ始めるとやめられない」という声もあるそうです。

睡眠の記録が教えてくれる大切な情報

人間は病気になるまで自分の健康を意識しないことが多い、と副島医師は話します。Apple Watchのような機器は、運動量が少ない、睡眠の質が悪いといった、普段見過ごしがちな健康の状態に「気づき」を与えてくれる道具になり得ます。

特に睡眠の記録は大切だそうです。寝ている間は自分で気づく症状が出にくいため、Apple Watchで寝ている時に何が起こっているかを見ることはとても役立つと副島医師は話しています。睡眠が浅いといった情報が得られることで、睡眠の質を良くするために、運動時間や種類、瞑想などを意識するきっかけにもなります。

しかし、寝ている時も付けているとなると、Apple Watchの充電はいつするのでしょうか。

充電は副島医師も鈴木さんもお風呂に入る時に行っているそうです。最近のApple Watchは充電が早いため、睡眠中につけることは健康の管理において大切だという認識が示されています。

楽しみながら続ける健康の管理

Apple Watchの機能は、健康の管理を続ける上でも役立ちます。例えば、運動の目標を達成するという毎日の目標設定は、知らないうちに運動量を増やすことにつながります。目標が達成できた時のアニメーションや褒める仕組みは、やる気を保つのに効果的です。

これにより、健康の管理が「義務」ではなく、「楽しみながら健康の管理ができる」感覚になると副島医師は表現しています。

様々な健康情報を活用するメッセージ

鈴木さんは、Apple Watchの活用について、「まずはとりあえずApple Watchをつけてもらうのが一番」だと話しています。心臓関連のお知らせだけでなく、例えば騒音レベルが危険なレベルであることを教えてくれる機能など、様々な角度で情報やお知らせをくれることで、これまで知らなかった健康に関わる危険や、健康になるための知識が得られ、それが行動の変化につながる可能性があるからです。

見た目や表面的な機能だけで判断せず、その多様な機能を使ってみてほしいと鈴木さんは勧めています。副島医師も、楽しみながら健康の管理ができる点や、毎日の「気づき」を与えてくれる点がApple Watchの良さであると改めて強調しており、Apple Watchを通じて、より健康に良い生活を多くの人が手に入れられる可能性があることを示しています。

Apple Watchは単なる機械ではありません。それは人生観を変え、より積極的で健康に良い生き方へと導く、真のパートナーなのです。

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