米中通商協議は初日終了、29日再開の見通し-関税停止延長目指す

スウェーデンのストックホルムで28日から始まった米中の通商交渉は、初日の協議を終えた。交渉は2日間の日程で、当面の焦点となっている高関税停止措置の延長に向けて29日午前に協議が再開される見通し。

  中国の何立峰副首相とベッセント米財務長官がそれぞれ代表団を率い、初日は現地時間午後8時近くまで話し合った。米中双方とも会談後に報道陣への発言はなかった。米中協議はここ3カ月足らずで3回目。

会場に到着したベッセント氏(中央)とグリア氏(後方)を出迎えるスウェーデンのクリステション首相(左)

  合成麻薬フェンタニルに絡む米国の対中関税や、中国によるロシアおよびイラン産原油購入といった重要問題を巡って、さらに交渉時間を確保することが議題に含まれている。

  初日の協議開始前にMSNBCとのインタビューに応じた米通商代表部(USTR)のグリア代表は「欧州連合(EU)や日本、その他多くの国や地域と合意を結んでおり、率直に言って、われわれは有利な立場でこの協議に臨んでいる」と語った。

  トランプ米大統領は27日、訪問先のスコットランドでEUとの合意を発表するに当たり、対中関係についても短く言及。「中国とは非常に近いところまで来ている。ある意味ではすでに合意に至っているとも言えるが、今後の推移を見守る必要がある」と述べ、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

  事情に詳しい関係者2人によれば、28日の協議冒頭にラトニック米商務長官の姿はなかった。同氏は先週、ブルームバーグテレビジョンで協議に出席する意向を示していた。

  その後、ラトニック氏はFOXニュースで、トランプ氏が中国に対する関税一時停止措置を巡る決定権を握ると指摘。90日間の延長の可能性に関する質問に対し「それは起こり得る結果だろうか。確かにそのように思えるが、トランプ氏の判断に委ねよう」と語った。

  またトランプ氏が今週、幾つかの貿易ディールをさらに「受け入れる可能性」があり、その後、残りの貿易相手に対する関税率を一方的に決定すると表明。貿易交渉への関心が続いていることの表れとして、韓国の代表団がラトニック氏およびグリア氏と会談するためスコットランドに赴いたと、ラトニック氏は説明した。

関連記事:中国への関税一時停止措置の延長、トランプ氏が判断へ-米商務長官

  ラトニック氏は6月にロンドンで行われた前回の米中協議には出席した。前回の協議では、国家安全保障に関わる措置は交渉の対象外とする従来の原則を覆す形で、輸出規制の問題が通商協議に加えられていた。

  また英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、米国が中国へのテクノロジー輸出規制を一時凍結したと報じた。対中通商協議への悪影響を避けるとともに、トランプ氏と中国の習近平国家主席との会談を年内に実現させることが狙いだという。

関連記事:米政府、習主席との会談実現目指し対中輸出規制を凍結-FT

原題:US, China Talks in Stockholm Aim for Trade Truce Extension (1)、Trump to Decide on China Trade Truce Extension, Lutnick Says、Trump ‘May Entertain’ a Few Trade Deals This Week, Lutnick Says(抜粋)

関連記事: