下院選が近づく中、プーチンの支持率は急落…ロシアとウクライナの未来はどうなる?(ニューズウィーク日本版)
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が支持率急落に直面している。背景にあるのは、ウクライナへの全面侵攻に起因する燃料不足やインターネット遮断、経済低迷だ。 【動画】プーチンの支持率が低下している理由 ロシア政府系の世論調査財団は6月21日、国内51行政区で、有権者1500人を対象に調査を実施。プーチンを信頼すると回答した割合は69%で、前週比5ポイント低下した。1年前の82%と比べて大幅に低く、ウクライナ全面侵攻以降で最低水準に落ち込んでいる。 プーチンの職務遂行に対する支持率は71%で、前週比4ポイント低下した。職務支持率は昨年9月(82%)をピークに、この半年間は下降傾向にある。 世論調査の結果は「目新しいものではない」と、ロシアの反体制派政治活動家で、調査団体クロニクルズの共同設立者アレクセイ・ミニャイロは本誌に語る。「だが支持率の本質そのものが、一般的な考えとは異なっている」 社会学者が構成するクロニクルズは、政府系調査機関より正確な世論像を切り取ることを目的に、独自の世論調査を実施している。 「世論調査で『支持する』と回答した人は、プーチンの政策を完全に支持していると見なされがちだが、実際にはそうではない」と、ミニャイロは指摘する。クロニクルズの調査によれば、プーチンの施政を支持する人のうち、ウクライナ侵攻を支持する割合は61%にとどまるという。 「プーチンは外交政策が国家の優先課題だと明言しているが、いわゆる支持者の83%は国内の社会的・経済的問題に注力することを望んでいる」
プーチンへの信頼低下を示す結果は「取るに足りない」と、ミニャイロは語る。信頼する人の割合が「今も圧倒的多数」だからだ。ただし「本当に重要なのは『圧倒的多数』の実態だ。現実には、多数派の一員である人々の多くが、プーチンの行動とは正反対のことを望んでいる」 巨額の国防支出が支えてきた戦時経済にも陰りが見える。イラン戦争による世界的な原油価格高騰にもかかわらず、ロシア経済発展・貿易省は5月、今年の経済成長率予測を従来の1.3%から0.4%に下方修正。深刻な労働力不足でインフレも加速している。 折しもロシアでは、9月に実施予定の下院選が迫っている。6月28日、与党・統一ロシアが開いた党大会で演説したプーチンは、ウクライナ軍によるエネルギー関連施設へのドローン(無人機)攻撃のせいで、燃料不足が起きていると認めた。ロシア国内では今や、首都モスクワをはじめ、少なくとも56地方で燃料規制が行われているという。 こうしたなか、注目すべき動きがある。ロシアの独立系ニュースサイト、メドゥーサが指摘するように、統一ロシアが19年ぶりに「プーチンの党」と公式に打ち出したことだ。プーチンは同党に所属していないが、先日の党大会では「統一ロシアは大統領の党」「プーチン支持は必要最低限の条件」と書かれた選挙ポスターが登場した。 米シンクタンク、戦争研究所(ISW)の見方によれば、狙いはおそらくプーチンを幅広く支持される指導者に見せかけることにある。自由でも公正でもあり得ない9月の下院選で、勝利するのは統一ロシアに決まっているからだ。
ブレンダン・コール (本誌記者)