爬虫類のおしっこは「石」。そのメカニズムが痛風治療のヒントになるか?(ギズモード・ジャパン)
爬虫類のおしっこが「結晶」だって知ってました? 何十年もの間、研究者たちは爬虫類のおしっこが結晶である理由を観察してはいました。でも、詳しい仕組みについては、よくわからないままででしたが、ついにその謎が解けたのです。 【全画像をみる】爬虫類のおしっこは「石」。そのメカニズムが痛風治療のヒントになるか? 先日発表されたアメリカ化学会誌(Journal of the American Chemical Society)の論文で、有機化学者と爬虫類学者がタッグを組んだ研究チームが、20種以上の爬虫類の「結晶おしっこ」を分析した結果を報告しています。 すごくシンプルに結論をいうならば、爬虫類は体内の余分な窒素を微細な結晶が集まってできた小さな球体という形で排出しているということみたいです。 この仕組みは、ヘビにとって進化的な利点があるだけではなく、人間の健康にも関わると研究者たちは述べています。
この研究は、ジョージタウン大学の結晶学者ジェニファー・スウィフト氏が、爬虫類学者のゴードン・シュエット氏から受けたちょっと変わった相談がきっかけで始まりました。 シュエット氏は飼育している爬虫類に同じ食べ物と水を与えているのに、「結晶おしっこ」に違いがあることに気づいていたのです。スウィフト氏はGizmodoの電話取材にこう話しています。 「シュエット氏が観察して気づいたのは、飼育している生き物の中には、乾くと岩のように硬くなる尿酸塩を出すものもいれば、乾くと粉のようになるものもあるということ。 シュエット氏が『これはなんでなんだろう?』と聞いてきたので、私は『わからないから、サンプルを送ってくれる?』と答えたんです」 それまでスウィフト氏の研究対象は、人間の尿酸結晶の蓄積についてでした。尿酸結石は痛風や腎臓結石などの深刻な健康問題を引き起こします。尿酸は動物が体内の余分な窒素を分解するときにできる3つの主要な形のうちの1つです。 哺乳類の場合、余分な窒素は「尿素」として体外に排出され、多量の水とともに「尿」として出ていきます。一方で爬虫類や鳥類(どちらも恐竜の子孫)は、固体の尿酸として窒素を排出します。これは乾燥した環境で水分を節約するための進化的適応だと考えられています。