米FRB、金利据え置きの見通し-トランプ氏は利下げ求め圧力強化も

米金融当局は7日まで開く連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、政策金利据え置きを決めると広く予想されている。トランプ政権の通商政策やその影響が一段と明らかになるのを待つ見通しだ。

  当局が事前予想の通り、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを4.25-4.5%に維持して静観姿勢を保てば、利下げ催促を繰り返しているトランプ大統領の不満は増すものと予想される。

  トランプ政権の広範にわたる関税措置を受けて米消費者信頼感は低下し、家計は消費者物価上昇や労働市場悪化の可能性を懸念している。しかし、3月の個人消費支出(PCE)価格指数のうち、変動の大きい食料品とエネルギーを除くコア指数の伸びは前年同月比2.6%に鈍化する一方、4月の失業率は4.2%と前月比横ばいだった。

  米金融当局者は最近の公での発言で、異例の不確実性に言及しつつも、金融政策は最大限の雇用と物価安定の二つの責務のバランスを取る上で良いポジションにあると強調している。

  ウェルズ・ファーゴの米国担当シニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「ハードデータは依然、持ちこたえている」と指摘した。

  当局は米東部時間午後2時(日本時間8日午前3時)に金利決定盛り込んだFOMC声明を発表し、2時半からパウエル連邦準制度理事会(FRB)議長が記者会見する。

  金利先物市場は現在、当局が6月29、30両日のFOMC会合で0.25ポイントの利下げに踏み切り、年内にさらに2回か3回の利下げを行う見通しを織り込んでいる。これに対し、ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した最新調査では、年内利下げは9月を皮切りに2回にとどまるとの予想が示された。

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FOMC声明

  当局は最新のFOMC声明で、二つの責務の両方へのリスクに注意を払うとした3月19日の前回声明の文言を繰り返すと見込まれる。 他方、輸入急増に伴い、1-3月(第1四半期)の実質GDP(国内総生産)伸び率がマイナスになったことで、「経済活動が堅調なペースで拡大を続けている」とした文言は使えないかもしれない。

記者会見

  声明内容にほとんど変更が見込まれず、四半期経済予測の発表もないことで、パウエル議長に利下げ検討の意図があるかや、それにはどのような条件が必要になるか、投資家は議長の記者会見に手掛かりを探ることになりそうだ。

  KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は、新型コロナウイルス禍後のインフレ高進や1970年代の物価高騰の教訓が「FRBのDNAに刻まれている」とし、米関税措置への対応にも影響を及ぼすだろうとコメントした。

トランプ氏の批判

  米金融当局の金利据え置き継続にトランプ氏は重ねて不満を表明し、パウエル議長を繰り返し批判しており、会見では大統領から当局への圧力や攻撃について記者団から質問があると予想される。

  トランプ氏は4日放送のNBCニュースとのインタビューで、パウエル議長解任の意図をあらためて否定したものの、議長のことを「全くの堅物」と呼んだ。

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  パウエル議長としては、トランプ氏の反感を買うような発言を避けるとともに、金融政策策定に当たっての連邦準備制度の政治からの独立性を強調するものと見込まれる。

原題:Fed to Hold Rates Steady as Pressures Mount: Decision Day Guide(抜粋)

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