NY外為市場=ドル下落、トランプ関税巡る法廷闘争に備え
終盤のニューヨーク外為市場では、米ドルが下落した。2022年7月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[ニューヨーク 29日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、米ドルが下落した。米国際貿易裁判所がトランプ大統領が発動した一連の関税の大部分を差し止めたことを受け、投資家らは法廷闘争に備えている。
トランプ米政権は米国際貿易裁判所の28日の差し止め命令に対し控訴。米連邦巡回控訴裁判所はこの日、広範な関税を復活させる判断を下した。控訴裁は意見や理由を示さなかったが、原告らには6月5日までに、行政には6月9日までに回答するよう指示した。
こうした動きに対し、ドルは今のところ大きく反応していない。
控訴裁の判断に先立ち、トランプ政権の高官らは、この決定が控訴審で覆されるという自信を示すとともに、それまでの間も他の法的手段があると主張していた。
ジェフリーズのグローバルFX責任者、ブラッド・ベクテル氏は「市場はすぐに、この裁定が関税計画の一側面のみに焦点を当てた狭いものであることに気づいた。トランプ大統領にはまだ他にも多くの選択肢がある」と述べた。
メシロー・カレンシー・マネジメントのストラテジスト、ウト・シノハラ氏は「根本的な問題は、貿易政策に関する明確さが持続的に欠如していることだ」と指摘した。
ゴールドマン・サックスの為替アナリストは「これで関税問題が幕引きとなる可能性は低い。ある意味では、政権が控訴に勝つか、関税実施のための代替的な法的手段を選択した場合、関税問題全体が以前よりも定着する可能性がある」と述べた。
控訴裁の判断が伝わる前の終盤の取引で、ユーロは対ドルで0.73%高の1.1374ドルとなった。一時は5月19日以来の安値である1.1209ドルまで下落していた。
ドル/円は0.57%安の143.99円。一時は5月15日以来の高値である146.28円に達していた。
対スイスフランでは、ドルは0.59%下落し0.822フランとなった。
また、米ドルは失業保険新規申請件数が予想以上に増加したデータが発表された後にも弱含んだ。関税が経済見通しを曇らせる中、レイオフが増加していることを示唆している。
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