Nintendo Switch 2発売から3ヶ月 オーバーヒートや性能不足 見えてきた限界と課題 #エキスパートトピ

多根清史アニメライター/ゲームライター
(写真:ロイター/アフロ)

Nintendo Switch 2が発売されてから約3ヶ月が経過し、「本当の実力」が明らかになりつつあります。あらゆるゲーム機は発売前がもっとも夢が膨らみ、ふだん使いの「日用品」として接していると、しだいに評価が下がっていくことは避けがたいものです。

今や10万円を超えるスマホが珍しくないなかで、Switch 2は国内価格が約5万円という手頃さの中に様々な技術を詰め込んでいます。そのうえで、どこに妥協があり、今後どのような改良が望まれるのか。一学期目の成績表を、複数の記事を通じて振り返ってみましょう。

ココがポイント

Nintendo Switch 2 でオーバーヒート不具合が多発中。携帯モードやTVモード両方でも発生出典:GAZLOG 2025/7/3(木)

任天堂スイッチ2で「がっかりしたこと」6選--バッテリー寿命、他には?出典:CNET Japan 2025/4/5(土)

なぜSwitch 2はサードパーティ製ドックが使えないのか?USB-Cの独自暗号化と任天堂の「壁」による支配出典:XenoSpectrum 2025/7/6(日)

任天堂自身もファーストタイトル『ドンキーコング バナンザ』でフレーム落ちが発生していることを認めており出典:多根清史 2025/8/28(木)

エキスパートの補足・見解

Switch 2は「携帯ゲーム機と据え置きゲーム機のハイブリッド」という初代Switchの特徴を受け継ぎつつ、競合ハードよりも安価な価格を実現しています。

それを可能とした大きな要因は「製造技術的に古いチップを使用している」ためです。8nmチップの可能性が高いとみられており、これは数年前のPS5やXbox Series X|Sの7nmチップよりも少し遅れています。

ここでいう○nmとは半導体の回路線幅を意味し、数値が小さいほど高速かつ低消費電力になる傾向があります。現代では実寸と一致しないといわれますが「数値が小さいほど世代が新しい」ことは事実です。

そのためチップの性能には限界があり、発熱もしやすくあります。Switch 2はこれを新しいGPUアーキテクチャや超解像技術で補う設計です。現在のフレームレート低下などは「新技術をまだ使いこなせていない」側面が大きく、時間とともにある程度解消されていくと考えられます。

ただし、サードパーティ製ドックの使用に制約があるのは「任天堂が意図的に排除している」可能性が高く、ハード性能とは関係ないと見られます。この点については、ユーザーから妥協を求める声が強まるかもしれません。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、マグミクスで記事を執筆中。

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