日本株、高値波乱も「押し目は買い」。AIブームで日本の製造業に広がる恩恵(窪田真之)

 先週(営業日6月8~12日)の日経平均株価は1週間で568円下がり、6万6,020円となりました。11日には一時6万2,335円まで下がりましたが、そこから急反発しました。

 中東情勢に振り回される1週間となりました。週初、米国・イランの停戦協議が暗礁に乗り上げ、停戦が遠のく不安が出ていました。原油高が長期化して、米インフレが悪化する懸念から、米金利が上昇して米国株が売られました。

 ただし、週末にかけて、トランプ大統領が「米国・イランの合意が近い」と発表したことから、原油先物が反落し、米国株・日本株とも急反発しました。

<WTI原油先物(期近):2022年1月3日~2026年6月12日>

出所:QUICKより楽天証券経済研究所作成

<日経平均週足:2025年1月6日~2026年6月12日>

出所:楽天証券MSIIより作成

 中東危機は簡単には終わらないものの、深刻なエネルギー危機は回避される見通しとなったこと、日本の景気・企業業績は好調に推移する見通しとなったこと、特に半導体関連は非常に好調であることから、日経平均は7万円に向けて上昇する期待が出ています。

 一方、半導体・AI関連株の上昇ピッチの速さに対する警戒がある中で、日米ともインフレ・金利上昇懸念が上値を抑える要因となっています。FRB(米連邦準備制度理事会)がいずれ利上げに転じるとの見方が出てきたことが、米国株にとって上値を抑える要因となっています。

 こうした背景から、日経平均も、米国でAI・半導体関連株の比率が高いナスダック総合指数も、高値で波乱含みの動きを見せています。

<米国ナスダック総合指数週足:2025年1月2日~2026年6月12日>

出所:楽天証券MSIIより作成

 日米の長期・超長期金利の上昇が不安視される状況は変わりませんが、米・イランの合意が近いとの期待から原油先物が下落したので、ひとまず金利上昇も一服したところです。

<日米長期・超長期金利の動き:2019年末~2026年6月12日>

出所:QUICKより作成

生成AIブームの恩恵が日本にも及び始めた

 日経平均は高値波乱の様相を呈していますが、企業業績の見通しが良好で、東証プライムの予想PERは17.2倍まで低下していることから、日本株の下値は堅いと見ています。

 東証プライム市場の予想PERは、6月12日時点で17.2倍です。2月末には一時20倍を超えてやや割高と意識されましたが、その後、企業業績が予想以上のペースで伸びる見通しとなったことを受けて、PERは低下しました。

 AIブームの恩恵は、当初、エヌビディアやグーグル、マイクロソフトなど、米国のハイテク株に集中すると見られていましたが、ここにきて、日本の製造業に幅広く恩恵を及ぼしつつあります。

 半導体は当初、エヌビデイア製のGPUだけが不足していましたが、今や、CPUやDRAMなどあらゆる種類の半導体に供給不足が広がっています。DRAM不足は長期化する見通して、その恩恵でキオクシアの業績好調が続きそうです。

 半導体だけでなく、電力や通信ネットワーク、関連部品など、日本の製造業全般に恩恵が広がりつつあります。

<東証プライムの予想PERの月次推移:2022年4月~2026年6月(12日)>

出所:QUICKより楽天証券経済研究所作成

日本株の投資方針

 日経平均の上昇ピッチがやや速すぎますが、それでも、長期的視点で見て、日本株はきわめて割安で、長期的な上値余地が大きいとの見方は変わりません。

 これからも日経平均は乱高下が続きそうですが、割安な日本株に分散投資しながら投資していくことは、長期の資産形成に寄与すると考えています。

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