これまで確認された中で「最も古いブラックホール」を特定(ギズモード・ジャパン)
この発見は、これらの銀河がなぜ非常に明るいのかという疑問に、新しい説明を与えるものでした。しかし、その理論を裏づけるためにはさらに証拠が必要だったため、Finkelstein氏と同大学のコズミック・フロンティア・センターで研究員を務めるAnthony Taylor氏が率いるチームは、JWSTの「CAPERS計画(CANDELS-Area Prism Epoch of Reionization Survey)」の分光観測データを分析しました。 分光法(spectroscopy)とは、天体から届く光を波長ごとに分けて調べることで、その天体の性質(温度、組成、運動など)を知る手法です。ブラックホールが周囲のガス雲と相互作用すると、非常に特徴的な分光パターン(スペクトルの特徴)が現れます。 例えば、ガスがブラックホールに向かって高速で落ち込むとき ・私たちから遠ざかるガスの光は赤方偏移(波長が引き伸ばされ、赤い光に近づく現象) ・私たちに近づくガスの光は青方偏移(波長が縮まり、青い光に近づく現象) を起こします。 Taylor氏はこの特徴がCAPERS-LRD-z9で確認されたことを明らかにしました。過去にもブラックホールの兆候を持つリトル・レッド・ドット銀河は発見されていましたが、CAPERS-LRD-z9はこれまでで最古のものです。 この結果は、これらの銀河の明るさの原因が、超大質量ブラックホールである可能性を強めるものであり、銀河が非常に赤く見える理由の解明にもつながります。もし光がブラックホールの周囲にある厚いガス雲を通過するならば、その光は赤方偏移し、より赤く見えるというわけです。
Taylor氏は、この銀河の中心にあるブラックホールの質量は、太陽の最大3億倍に達すると推定し 「こうしたガス雲は他の銀河でも観測されたことがあります。この天体をそれらはそっくりそのままでした」 と述べています。 宇宙が誕生して間もない時期に、これほど巨大なブラックホールが存在したという事実は、Finkelstein氏の言葉を借りるなら「初期のブラックホールがこれまで考えられていたよりもずっと早く成長した」あるいは「理論モデルが予測するよりもはるかに大きな質量で誕生した」ことを示す証拠が増えていると言えそうです。 Source: The Astrophysical Journal Letters
高橋真紀