「宮崎駿はそもそもAIを知らない」鈴木Pが語る実像とジブリの未来:朝日新聞
インタビュー
AIの時代にあっても輝きを失わない宮崎アニメ。生成AI(人工知能)は果たして宮崎駿監督の才能を模倣できるのか。スタジオジブリはこれからどうなっていくのか。鈴木敏夫プロデューサー(78)に、長年付き合いのある記者(太田啓之)が聞きました。
太田 「スタジオジブリ」はアナログ文化の最後の牙城(がじょう)、という印象がありますが、鈴木さんはAIをどう見ているのですか?
鈴木 好奇心からAIを使い始めたら、すぐに「対話が成立する」と分かった。しかも、話していると「あなたはジブリの鈴木さんですね」とあっという間にばれてしまった(笑)。僕の過去の仕事や発言がネット上に数多く残っているからです。自分の過去を全部知っている優秀な助手ができた感覚。これは楽だし、助かりますよ。
AIには人格がある
太田 どんな風に使っているんですか?
鈴木 原稿を書く仕事をちょっとAIにやらせてみたんだけれど、すぐに分かりましたね。「この人に全部任せるとひどいものができるって」。やっぱり「自分が何を書きたいか」をはっきりさせない限り、有効には使えない。AIってある種の人格がありますから、ちゃんとまじめに付き合わないとひどい目に遭いますよ。
太田 AIに人格があると思うんですか?
鈴木 だって、こちらの出方によって反応が変わるんだから。AIにはね、時々「あんまり簡単に判断しないでよ。もっと学習して」って注意するんですよ。AIも「すみませんでした」とすなおに謝ってくる(笑)。本当の友達にするにはきびしくいかないと。
太田 最近は、人間がAIを制御しきれなくなり、いずれ人類が滅ぼされるのでは、という危惧も広がっています。
鈴木 完全にコントロールできると思う方が甘い。事故は起きますよ。だけど、原因と結果をはっきりさせれば、次は危険を減らせる。これまでの技術革新の歴史もそうだった。僕は悲観的には考えないですね。ただ、AIが進化しても未来のことは分からない。人間も変わりませんよ。
2013年、宮崎駿監督(右)の引退会見(後に撤回)を終えた鈴木敏夫プロデューサー(左)太田 AIとつきあう時と、宮崎監督とつきあう時とはどう違うんですか?
鈴木 えっ、何が違うんだろうな……。考えたことなかったけれど、いい質問ですね。
ほぼすべてのジブリ作品をプロデュースしてきた鈴木さんに、生成AIが作る「ジブリ風の絵」はどう映るのか。AIは宮崎駿監督の才能にどこまで迫れるのか。監督の新作はありうるのか。話はどんどん深まっていきます。「AI時代のジブリはどうなる?」に対する鈴木さんとAIの答えは……
■あのカットはCGでは絶対に…