一時広まったフィオレンティーナ入りの噂…流通経済大FW松永颯太は浦和入り決断「開幕スタメンを目指して」

 12月に入って怒涛のように発表になった。流通経済大から今季Jリーグに進む選手は現時点で6名。今季の10番を背負ったFW松永颯太(4年=静岡学園高)は、J1の強豪・浦和レッズでプロキャリアをスタートさせることになった。

 浦和がまたも流経大所属の有力選手の獲得に成功した。今季のチームにもDF根本健太やMF安居海渡といった当時争奪戦となった流経大OB選手が在籍。ただ自身も大学OBである宇賀神友弥強化担当は「癒着はないです」と笑いを誘うようにして話すと、「彼が勝ち取った契約です」と松永の実力に太鼓判を押した。

 今夏、関係者の間でひとつの噂が広まった。「フィオレンティーナが松永の獲得に動いている」。松永は今夏行った全日本大学選抜のイタリア遠征に背番号10で帯同。話題となった最終戦のフィオレンティーナ戦でフル出場を果たすと、MF山市秀翔(早稲田大4年/川崎F内定)とともに現地で高評価を受けたようだ。

 そんな中で当時、進路が決まっていなかった松永には、具体的な話が届けられた。実際に通訳や住居の手配なども進められたという。結果的には枠の問題もあって契約が最終段階まで進むことはなかったが、海外からの関心が伝えられただけでも貴重な経験になった。

 春先からセレッソ大阪、東京ヴェルディ、ジュビロ磐田や大宮アルディージャといったクラブに練習参加してきた松永だが、浦和レッズからの関心は今秋になって伝えられた。10月に2度ほど練習に帯同。そこでオファーを勝ち取って契約を結んだ。「他にはないサポーターの熱い声援だったり、サッカースタイルも好きなので決めさせてもらいました」。

 当然、同期となる選手の動向も気にしている。複数の大学生が浦和への入団内定を決めているが、桐蔭横浜大のFW肥田野蓮治は11月30日のJ1第37節の岡山戦に先発出場。いきなり決勝弾を決める鮮烈デビューを飾った。「刺激になることでもあるし、自分もやってやろうという気持ちになった」。そして「キャンプから飛ばしていって、開幕スタメンを目指してやっていきたい」と力に変える。

 また静岡学園高時代の同級生の存在も意識していきたいという。当時の同級生はMF古川陽介(ダルムシュタット)ら4選手が高卒でプロに挑戦。大学組も松永やFW持山匡佑らがプロ入りを決めている。「プレスのところだったり、ハードワーク、球際の部分を大学で学べた。それに人間性の部分も口酸っぱく言っていただいた」と大学への感謝を語った松永は、「俺が活躍することであいつらも頑張ろうとなるやろし、そこで切磋琢磨できればと思います」と気合を入れ直した。

(取材・文 児玉幸洋)●第99回関東大学リーグ特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中

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