金相場の強気ムードに変調-オプション市場の動きに警戒促す声
米国の関税措置を受け安全資産を選好する動きが広がり、金相場は今月、他の資産を上回るパフォーマンスを見せた。ただ、ここにきてオプション市場で見られるポジションの変化から、金相場について警戒を促す声も出てきている。
金相場が先週、最高値を更新する中で金の上場投資信託(ETF)「SPDRゴールド・シェアーズ」のオプション取引量は130万枚を超え過去最高を記録。同時に、インプライド・ボラティリティー(IV、予想変動率)が急上昇する一方、同ETFの下落をヘッジするコストが昨年8月以来の低水準に接近するなど異例の動きとなっていた。
こうした市場の動きについて、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のチーフデリバティブストラテジスト、タンビール・サンドゥ氏は、「金とビットコインはいずれも、スポット価格の上昇とボラティリティーの上昇が同時に発生する動きを見せており、近年の米大手ハイテク7社『マグニフィセントセブン』に似ている」と分析。
その上で、金に対するコールオプション(買う権利)の需要が急増する一方、直近で金が値下がりしたことにより、幅広い権利行使価格にまたがってコールとプットにおけるIVの偏りが解消されてきていると述べた。
貿易を巡る緊張が一部緩和する兆しを受け、金相場はすでに先週の取引時間中に付けた高値から5%余り下落している。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、ヘッジファンドマネジャーは、金の先物・オプションのネットロング(買い越し)を1年超ぶりの低水準まで縮小した。
最近のリスク回避の動きを背景に金相場は今月、米国債や米国株などに対する大幅なアウトパフォームを記録。これにより、金ETFのコール価格が急上昇するなどプットを上回る需要を集め、スキュー(コールに対するプットの需要の強さを示す指標)がマイナスに転じた。
こうしたオプション市場の動向について、バークレイズのステファノ・パスカーレ氏らストラテジストは大規模な投機的動きとして警鐘を鳴らした上で、ヘッジファンドのポジション縮小や最近の金下落とともに少なくとも短期的には慎重になる要因だと分析。
さらに、金はドルや実質金利などの「ファンダメンタルズ要因」との間に乖離(かいり)が生じているほか、「テクニカル面でもやや行き過ぎが見られる」とし、「金価格は下落すると考えている」と語った。
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原題:Gold’s Bullish Sentiment Seen Easing as Record Rally Stumbles(抜粋)