2025年末施行の「スマホ新法」でiPhoneやAndroidが変わること。アップルは「EUの二の舞」懸念(BUSINESS INSIDER JAPAN)

そもそもスマホ新法とはどんな内容なのか。 法の定める目的は「特定ソフトウェアに係る公正かつ自由な競争の促進を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」(スマホ新法・第一条条文より引用)こと。 現在はプラットフォーマーの寡占が進行しており、その中でビジネスをする際に公平性が担保できないのでは、という懸念がある。 そこで、公正競争のためにルールを設けよう、というのがスマホ新法の趣旨だ。 影響力のある事業者を「指定事業者」とし、そうした事業者が、正当な理由なく、自社プラットフォーム上でビジネスすることを妨げたり、自社に有利な情報を得たりすることが禁止される。 指定事業者は運用状況に対して報告の義務を負い、規定に違反した場合、公正取引委員会が違反行為の差止めや是正措置、課徴金納付命令を行う制度が設けられる。 なお、詳しい法律条文は「e-Gov 法令検索」で公開されている。

ただことの性質上、法律の条文に全ての条件を記載することは難しい。技術や市場の変化が常に付きまとうからだ。 そのため、基本的な内容を条文として定め、その運用は「ガイドライン」を定めて進めることになる。 ガイドラインは素案の段階で、5月からパブリックコメントの募集が行われた。募集自体は6月13日で受付を終了し、それをさらに取りまとめたのが、今回公開された文書ということになる。 公開されたガイドラインに則ると、スマホの利用環境で何が変わってくるのか? シンプルなところでは、スマホ内での「ウェブブラウザー」「検索エンジン」「翻訳」「非接触決済アプリ」などを「利用者が選択できる」必要が出てくる。 以下の画像はiOS 26・パブリックベータ版(報道向けに許可を得て画像利用)、Android 16 ベータ版での、「各種機能のデフォルト設定変更画面」だ。 以前から変更は可能だったが、世界的な規制の潮流もあり、変更可能な範囲は増えている。 さらに、「OSが本来提供している機能やAPIを、競合他社アプリには技術的・契約的に使わせない」ことがないよう、配慮が求められる。 決済については、「自社以外の支払いシステムの利用」を必ず許諾することに加え、そうした支払いに関わる外部ウェブの誘導も許諾しなければならない。 外部支払いについては、それを可能にする際に「リンクやボタンを小さくする」「不当に高い手数料を取る」ことも禁止だ。また、外部支払い機能があることで審査が不当に長引くといった、阻害行為も禁じられる。


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こうした方針を、各社はどう考えているのだろうか? アップルは公式コメントを以下のように発表している。 「Appleは日本で40年以上にわたって事業を展開しており、国内で100万人以上の雇用を支えていることを誇りに思っています。また、App Storeが、開発者の皆さまにとって魅力的なビジネスの機会を提供し、ユーザーにとって最高のアプリ体験ができる場であり続けられるよう、常に革新を重ねています。しかし、政府が導入しようとしているEU型の規制は、プライバシーやセキュリティの保護を損なうだけでなく、私たちの技術やサービスを競合他社に無償で提供することを強いるものであり、新たなリスクを生じさせかねません。こうしたリスクを適切にご理解いただけるよう、私たちは引き続き公正取引委員会との対話を重ねてまいります。」 このコメントの中からもわかるように、アップルは「EU型を完全になぞる」ことを危惧している。 公平競争自体に異議は唱えていないものの、外部アプリストアの開設に必要なコストをどうするのか、といった条件が事後変更されることもあったようで、「条件の明確化」に、相当な違和感・危機感があることが窺える。 争点となる要素の1つに「相互運用性の情報提供と知財利用の制限」がある。

西田宗千佳[ITジャーナリスト]

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