OpenAIがスターゲート拡大 米国内で5カ所のデータセンター新拠点

対話型人工知能(AI)のChatGPTを展開する米OpenAIは、オラクルおよびソフトバンクグループと提携し、米国内5カ所に新たなデータセンターを建設するため、約4000億ドル(約59兆円)を投じる計画だ。米国内におけるAIインフラ整備に向けた総額5000億ドルの投資計画の一環で、これはこれまでで最大規模の取り組みとなる。

  テキサス、ニューメキシコ、オハイオの各州に新設される拠点は、最終的に7ギガワットの発電能力を持つ見通しで、これは一部の都市全体に相当する規模だと各社は23日に明らかにした。

スターゲートにとって初のAIデータセンター建設(9月23日、テキサス州アビリーン)

  計画はテキサス州アビリーンで開かれた記者会見で3社の経営幹部が発表した。OpenAIとオラクルは同地で数カ月前から、共同のAIインフラ構想「スターゲート」の一環として初のデータセンターを開発している。

  今回の拡大により、3社は今後4年間で国内のデータセンターとAIインフラに5000億ドルを投資するという目標に大きく近づくことになる。この公約はトランプ政権2期目発足直後、各社の最高経営責任者(CEO)らが表明していた。

  新設拠点はまた、OpenAIのサービスを大幅に支える追加の計算能力を提供する見通しで、その中には現在週当たり7億人が利用しているChatGPTも含まれる。

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  OpenAIのサム・アルトマンCEOは記者会見で「われわれはインフラ整備を可能な限り全力で進める。それこそが素晴らしい技術や基本的な製品・サービスを提供する力の源泉となるためだ」と述べた。

テキサス州アビリーンにあるスターゲートAIデータセンターで記者会見したCEOら。マイクを持っているのはOpenAIのサム・アルトマンCEO(9月23日)

  新設拠点のうちテキサス州シャクルフォード郡、ニューメキシコ州ドニャアナ郡、中西部の非公開の場所の計3カ所は、オラクルと共同で開発され、総容量は5.5ギガワットを超える見込みだ。

  この中にはアビリーンの拠点近くでの追加の600メガワット拡大も含まれる。OpenAIは7月にオラクルとの間で、最大4.5ギガワットの追加のスターゲート容量を開発することで合意しており、これは今回新たに示された4000億ドルの投資のうち約3000億ドルに相当する。

  オラクルのクレイ・マグワイク共同CEOは「われわれが取り組むべき仕事は、単独の組織や企業が独力で実現できるものではない」と指摘。「オラクルだけでは到底できない。ソフトバンクGやOpenAI、オラクル、その他の企業による協力によって成り立っている」と語った。

  オハイオ州ローズタウンとテキサス州ミラム郡の残り2カ所の拠点は、ソフトバンクGと共同で開発され、今後1年半で計1.5ギガワットの初期容量を持つ予定だ。これはソフトバンクGにとってスターゲート計画の一環として初の共同開発案件となる。

  OpenAIによれば、テキサス州の施設はソフトバンクG傘下のSBエナジーと共同で開発され、同拠点に電力を供給する見通し。オハイオ州の拠点は来年中に稼働を開始する見込みだとしている。

  新たなスターゲート拠点開発は現金と負債を組み合わせて資金調達する計画だ。複数のOpenAI幹部が匿名を条件に明らかにした。同社は、米半導体大手エヌビディアによる1000億ドル規模の新たな投資によって、負債による資金調達を比較的容易に進められるとみているという。こうした中で、アルトマンCEOは「計算資源のための資金調達が最終的にどのような形になるのか、まだ見極められていないと思う」と話した。

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  OpenAIは、新たなスターゲート拠点の整備によって全米で数万人規模の雇用が新規に創出されるとの見通しを示した。さらなるデータセンター拡充に向けて追加の候補地を引き続き検討しているとも説明した。

原題:OpenAI Expands Stargate With Five New Data Center Sites in US(抜粋)

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