10の完全退役を2030年まで延期

国防総省が21日に発表したFY2027国防予算案の中で「A-10完全退役の延期」「次世代空中給油機の開発中止」「アーレイ・バーク級駆逐艦の後継艦=DDG-X研究・開発費用の消滅」が確認され、海軍作戦部長は「F/A-XXは8月までに最終決定される」と明かした。

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国防総省は4月6日に2027会計年度(FY2027)予算説明資料を公開していたが、21日に発表したFY2027国防予算案の中で「新たな航空機としてF-35A/B/C×85機、F-15EX×24機、KC-46A×15機、E-2D×6機、UH-60×1機、MQ-25A×3機、MQ-9×5機、OA-1K×2機を購入する」「新たな艦艇としてFF-X=ゴールデン・フリート・フリゲート×1隻、バージニア級潜水艦×2隻、アーレイ・バーク級駆逐艦×1隻、サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦×1隻、アメリカ級強襲揚陸艦×1隻、ジョン・ルイス級給油艦×1隻、音響測定艦×1隻、無人水上艦艇×3隻、中型揚陸艦×6隻を購入する」と言及

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Nicholas Rupiper

さらに「PAC-3 MSE×3,203発(前年度357発)、SM-6×540発(166発)、THAAD×857発(55発)、SM-3 Block IB×78発(42発)、SM-3 Block IIA×136発(12発)、トマホーク TLAM/MST×785発(55発)、LRASM×333発(314発)、JASSM×821発(381機)、AMRAAM×1,811発(464発)、PrSM×1,134発(108発)、FAMM×1,000発(1,000発)、低コスト極超音速ストライク×353発(0発)を購入する」と言及し、この中でポジティブなポイントはF-35の全体の購入数が前年と比べて約2倍に増加し、F-15EXの調達が当初予定数を上回る可能性が出てきた点だ。

FY2026で成立したF-35の購入は計47機(F-35Aが24機、F-35Bが11機、F-35Cが12機)で、FY2027の要求は計85機(F-35Aが38機、F-35Bが10機、F-35Cが37機)と多いが、空軍向けのF-35Aは38機(14機増)しかなく「少なすぎる」という声が上がっている。

出典:U.S. Air Force photo by Tech Sgt. Jacob Stephens

空軍の報道官はBreaking Defenseの取材に「空軍は今後数年間でボーイング製戦闘機をさらに数十機購入してF-15EX部隊を編成する」「同時に老朽化したF-15E部隊の近代化に着手する」と述べ、Breaking Defenseは「空軍は計129機購入する予定だったF-15EXの大幅増強を検討している」「F-15EXの生産ラインは当初予定よりも長く維持される可能性が高い」「そのため空軍は2種類(F-35とF-15)の戦闘機生産ラインをフル稼働させることができる」と報じたが、空軍が実際にF-15EXを何機調達するのかはわかっていない。

さらに空軍はA-10×69機、F-15E×20機、F-16C/D×6機、KC-135R/T×20機、C-130H×16機、U-2×23機、T-6A×14機、T-38×1機、海軍はタイコンデロガ級巡洋艦×4隻、ロサンゼルス級原潜×2隻、オハイオ級原潜×2隻、給油艦×1隻、タグボート×1隻を退役させると説明しており、空軍は「残りのA-10(約54機)は2030年まで維持する」「次世代空中給油機の予算は先進空中給油機と呼ばれる新たなプログラムに転用される」と明かし、A-10の完全退役は延期、次世代空中給油機の開発は中止された格好だ。

出典:JetZero

弾薬調達は前年度に比べて飛躍的に増加しているように見えるが、この数量は産業界が1年間に供給できる生産量を大幅に上回っており、米国はイラン戦争で大して消耗していないHIMARS用弾薬(GMLRS及びATACMS)の欧州向け納入が遅延すると通知しており、これは固体燃料ロケットモーターや誘導装置の電子部品(GPS/INS)が各種ミサイルの生産と奪い合いになっている可能性が高く、各種弾薬の生産強化(2倍~4倍)も7年後=2033年頃に達成予定なので上記数量が発注されても受注残が増えるだけだろう。

FY2027国防予算案の一番リスキーな部分は「裁量予算=1兆1,500億ドル」と「義務的支出=3,500億ドル」のうち、F-35調達資金や弾薬調達資金の大半が「再調整法案の義務的支出」に依存している点で、もし再調整法案の上院可決に失敗すれば、PAC-3 MSE×3,203発の調達は267発、THAAD×857発の調達は27発、トマホーク TLAM/MST×785発の調達は58発、F-35A/B/C×85機の調達は32機まで激減し、そうなると裁量予算を編成し直さなければならなくなり、裁量予算に依存する産業基盤強化の資金が削減されれば各種弾薬生産や艦艇建造の強化が遅れ、もう地獄絵図まっしぐらだ。

出典:Lockheed Martin

とにかくFY2027国防予算案は再調整法案の上院可決にかかっていると言え、11月に実施される中間選挙の結果が出るまで予算は一歩も動かないだろう。

ちなみに、ジョン・フェラン海軍長官は「トランプ級戦艦の設計・開発には今後約460億ドルを費やす予定で、建造は2028会計年度に開始される」と明かした直後に「辞任する」と発表され、FY2025国防予算とFY2026国防予算で計上されていたアーレイ・バーク級駆逐艦の後継艦=DDG-X研究・開発費用もFY2027国防予算案から姿を消し、米海軍の有人水上戦闘艦は「トランプ級戦艦の新規建造」「設計上のマージンを使い果たしているアーレイ・バーク級駆逐艦の継続建造」「レジェンド級カッターの設計に基づくゴールデン・フリート・フリゲートの新規建造」でいくらしい。

We’re bringing tomorrow’s horizon into focus, faster, stronger and ready when the warfighter needs it.#SAS2026 pic.twitter.com/r0uORyR5kM

— Northrop Grumman (@northropgrumman) April 20, 2026

米海軍のダリル・コードル作戦部長はWar Zoneの取材に「F/A-XXは8月までにボーイング案とノースロップ・グラマン案の中から最終決定される」と明かし、ノースロップ・グラマンは20日にF/A-XXに関連していると思われるティーザー動画を公開した。

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air National Guard photo by Munnaf Joarder

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